I will support Ohashi For tomorrow.
 HOME / ごあいさつ / 自分史(1946〜2002) / 父との別れ / 憂楽帳 / 惰学記 / 父の思い出 / 後援会 / 大きなうた / 余談独談



夏樹静子

 新型肺炎SARS突然の流行を見て、深作欣二監督で映画化された小松左京の「復活の日」を連想した方は多いと思う。生物兵器を盗んだテロリスト機の墜落でインフルエンザ類似の強力ウィルスが地球に蔓延し、南極の863人を残して死滅。廃墟からの米ソ核ミサイル自動発射を防ぐ決死隊が南極を出発、任務を達成し一人生き残った草刈正雄がオリビア・ハッシーの待つ南極を徒歩で帰る…。30年余前、原作を読んで感動したが、今回私が思い浮かべたのは夏樹静子が兄五十嵐均と合作した「βの悲劇 −ドーム−」だった。
 北大西洋の島に、βの形をしたインフルエンザ・ウィルスの突然変異体が出現し、島民が全滅、空気伝染と渡り鳥の媒介で、死亡率100%のウィルスは世界に拡大、突然変異を繰り返すのでワクチンが間に合わず、発生から1ヵ月足らずで人類存亡の危機を迎える。
 1996年の作品だが、86年に出た「ドーム 終末への序曲」という"前編"があり、冷戦時代に、人類が核戦争で滅びないよう、南太平洋の島に、1000人が暮らせる直径500b、高さ160bの密閉型巨大ドームが建設され、世界各国から選抜された人間が居住中という設定になっている。そのドームが現代のノアの方舟として注目されるが、ドームに向かったエアバス機が撃墜され、CIAが暗躍し、イラクの大統領やカルトの教祖などが侵入を企てる。さて、ドームは守り抜けるか、人類は生き残れるか、という話だ。
 SARSは5月10日現在、感染者が世界で7206人、死者526人、推定死亡率は15%に達し、有効な治療法がまだない。夏樹さんは、受験戦争、大店法、主婦の万引き、単身赴任、蒸発、移植医療といった現代的なテーマを見事に小説化する才能の持ち主で、昔から注目していたが、7年も前に、ウィルスの知識を駆使して、現在の状況を予見したのだから、すごい。そう思うのは、単に私の科学的知識が不足しているせいだろうか。


     
夏樹静子、五十嵐均「THE DOME−ドーム−βの悲劇」(角川文庫版)=左=と、
小松左京「復活の日」(ハルキ文庫版)の表紙


<back>

 

 HOME / ごあいさつ / 自分史(1946〜2002) / 父との別れ / 憂楽帳 / 惰学記 / 父の思い出 / 後援会 / 大きなうた / 余談独談

 大橋建一へのご意見等は、こちらから。  E-Mail : info@ken-ohashi.jp