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戦い

 「戦争するな」という全世界の素朴な、当たり前の願いも空しく、とうとうイラク攻撃が始まった。このコラムでは、政治向きのことにはなるべく触れないことにしているのだが、黙っていられないこともある。今回はワイド版、いつもの倍の行数で思いを書く。
 湾岸戦争から12年、奇しくも同じ未年だ。アメリカ人は干支を知らないはずだが、ヒツジ年の歴史をひも解くと、1943年は太平洋戦争の戦局が完全に変わって米軍の反転攻勢が激しくなり、ガダルカナル撤退、山本五十六元帥戦死、アッツ、キスカ玉砕と日本軍が追い詰められた年。55年は後のベトナム戦争の引き金となる南ベトナムクーデター、ゴ・ジンジェム政権発足の年。67年は第3次中東戦争、アラブが8日間でイスラエルに完敗した年。そして79年はアフガニスタンの親ソ連派政権がクーデターで倒れ、アフガン戦争が起きた年で、過去の未年は不思議と米国の影がちらつくキナ臭い年だった。
 クウェート侵攻という明白な事実があって起きた湾岸戦争とは異なり、今度の攻撃は、どう見ても「大義なき戦争」である。生物化学兵器や大量破壊兵器を12年間隠していたというが、これまで放置して、なぜいま攻撃なのか。査察を継続すべきだという国際世論をなぜ無視するのか、その辺が全く分からない。大量破壊兵器を直ちに破棄せよ、と言い、破棄すると、まだあるはずだ。全部破棄したという証拠を示せと迫る。あげくに、国連の査察がまだ続いているのに、査察は無意味だと言い出し、サダム・フセイン親子が直ちに亡命しなければ攻撃すると宣告する。攻撃が決まっていて口実を作っているみたいである。
 確かにイラクは民主的とはお世辞にもいえないし、軍が国民を監視し、国民の生活を犠牲にして核や生物化学兵器を保有しようとしているとんでもない国だが、だからと言って他国が「大統領が亡命しないと攻撃する」というのは内政干渉である。イラクが世界の平和への脅威だというのは私も同意見だし、多くの国や人々もそう思っている。だから、「武装解除しないと攻撃するぞ」と脅すところまでなら理解するが、実際に攻撃してしまっては、どちらが平和の敵なのかという話になってしまう。攻撃する側の兵士と、イラクの市民の多くの命が失われることを何と考えるのか、である。
 結局、9.11の復讐劇、NYの敵をバグダッドで討とうという、アフガン攻撃の「第2部」的発想に過ぎないのではないか。アフガンでは確かに、女性を家に押し込め、バーミアンの石仏などの貴重な文化遺産を破壊した原理主義者タリバンの政権を倒したが、肝心のアルカイダは殲滅できず、ビンラディン指導者は逮捕もされず生き延びた。この戦争も結果がどうなるかはわからないが、かつて、日本が旧満洲から中国全土に戦線を広げ、結局泥沼の長期戦に陥ったことの繰り返しにならない自信があるのだろうか。
 ブッシュ大統領は、自分の価値観を唯一の正義と信じる典型的米国人で、彼自身は自分の主張をフランスなど他国の首脳がなぜ理解しないのか分からないようだが、我々の目から見れば独り善がりの典型だ。「フロンティアスピリット」を大義名分に、先住民を挑発して、攻撃を受けると正当防衛の名のもとに虐殺して西部へ西部へと進んだ開拓者や、自らの信じる善悪の基準で、「悪漢」を倒した西部のガンマンや保安官の手口と全く変わらない。
 12年前、湾岸戦争の時はブッシュさんの父が米大統領だった。戦争には勝ったがフセイン大統領を倒せず、翌年の選挙で自分が倒されてしまった。その父の屈辱を晴らすためにフセイン政権を倒そうとしているという見方もあるが、もしそうなら、父ブッシュ氏は対日戦争で乗機を撃墜され、潜水艦に救助されて命拾いしているから、それを恨みに思って次は日本を攻撃するかも知れない。もう一つ気になるのは、ブッシュ大統領はフセイン政権崩壊後のイラク再建を「日本を占領した方式で」などと言っていること。イラクや北朝鮮の国家体制が戦前の日本と酷似していることに気付いてあの発言をしているとしたら……。小泉さんは本当はそれが心配で米国支持を打ち出したのかもしれない。


イラク攻撃開始」を伝える3月20日の夕刊各紙



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