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八五郎

 落語にはあまり詳しくないが、小学生時代、いくつかの小噺ネタを父親に教えられて、家に来るお客さんの前で披露した。子どものやることだから、客人は「面白い面白い」とおだててくれる。すっかり得意になって、学校の授業の合間にも「エー、お笑いを一席」などとやったりしていた。今から考えれば冷や汗もので、聞かされる方は、それこそ落語の「寝床」に出てくる大家さんの義太夫を聞かされる店子の心境だったに違いない。成長するに連れ、その恥ずかしさに気が付いて、落語とは縁遠くなっていったようだ。
その落語の登場人物の一人が八五郎である。下手の横好きの大家さん、遊び人の若旦那、知ったかぶりのご隠居さん、少々足りないが皆に可愛がられる与太郎、乱暴ものの熊さんと並ぶ長屋話の常連で、慌てものの八っつぁんというイメージが強い。長屋といえば八っつあん熊さんという気がするが、「落語のあらすじ 千字寄席」というホームページに筋が紹介されている218の古典落語で八五郎が出てくるのは25くらいで、さほど多くない。
 
にもかかわらず八五郎が落語の代表選手のように思えるのは、落語ではなく、「銭形平次捕物控」(岡本綺堂作)で、「親分、てえへんだ」と叫びながら銭形平次の家に駆け込んでくる「もう一人の八五郎」のキャラクターが強烈で、それを連想するせいかも知れない。
 実は熊さんも本名?は熊五郎である。香取久三子さんという研究者によると、五郎は「御霊」に通じ、江戸歌舞伎の「曽我物語」の曽我五郎や「暫」の鎌倉権五郎のように神格化された存在につく名前だという。香取さんは「日本の宗教は笑いと縁が深く、『天の岩戸』でも神々が笑いで事態を打開した。中世仏教説話にも笑話が見られ、後の落語に影響を与えた。近世になると神仏のこっけいな姿を活写した話も多い。『神仏に親しみを感じる』気持ちが落語に影響を与え、八五郎とか熊五郎が生まれた」というのだが、本当だろうか?
 (注)香取久三子さんの説は、日本笑い学会「笑い学研究」No.9(2002年)の論文を要約しました。

本文とは全く関係ないが、ジュビロ磐田の本拠地・静岡県磐田市の名物ラーメン屋さんは「八五郎」が店名だ。
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