明日 I will support Ohashi For tomorrow. 大橋健一
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市民が主役

惰学記


全編143分

 黒澤明監督の映画を実はほとんど見ていない。「七人の侍」を小学校2年の時に見たことは書いたが、あとは「羅生門」「生きる」「生き物の記録」「蜘蛛巣城」「どん底」「隠し砦の三悪人」「悪い奴ほどよく眠る」「用心棒」「椿三十郎」「赤ひげ」「どですかでん」「影武者」「乱」「八月の狂詩曲」などの話題作を一つも見ていない。黒澤映画を見ずして映画ファンと言えるのかと問い詰められたら、「恐れ入りました」と言うしかないが、1965年までの作品はすべてモノクロで画面が暗い感じだったし、年ごろの可愛いい女性を見る楽しみもなく、ストーリーもハッピーエンドではないなど、お子さま向きではなく、つい敬遠してしまったようだ。考えてみると「七人の侍」以外で見たのは「天国と地獄」だけである。
 「天国と地獄」は1963年3月、私が高校2年に進級する春休みに公開された。どこで誰と見たかは忘れたが、当時NHKに勤務していた従兄が先に見に行って「面白かったし、キャストも豪華で、さすが黒澤だ」と話していたのを聞いて、普段あまり誉めることをしない辛口の従兄が言うのだから、本当に面白いのだろうと思って見に行った記憶がある。
 原作はエド・マクベインの「キングの身代金」だが、革靴やかばんを製造する会社の常務(三船敏郎)の息子と思って、お抱え運転手の子どもを誘拐した男(山崎努)が、身代金を要求するというプロット以外はほとんど黒澤チームの創作だった。身代金受け渡しは、新幹線開通以前の最速列車・東海道線の特急「こだま」が使われた。窓がはめ殺しの構造だが、トイレは7cmだけ窓が開くので、そこから3000万円の身代金入りのかばんを落とさせるというストーリーは20年以上後にグリコ・森永事件の犯人が真似ることになる。
 犯人がかばんを燃やした時に、常務が職人時代の腕で仕込んでおいた薬剤がピンク色の煙を発する。143分、全編モノクロの映画が、煙の部分だけカラーになるのがミソだ。

「天国と地獄」のDVDジャケットには、三船敏郎が身代金を持って特急こだまの座席に座る場面のスチール写真が載っている
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