明日 I will support Ohashi For tomorrow. 大橋健一
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市民が主役

惰学記


河は呼んでる

 「河は呼んでる」は1958年に日本で公開された同名のフランス映画の主題歌である。映画の舞台は南仏プロバンス地方*1。アルプス山麓から流れるデュランス河は、度々氾濫する暴れ川で、治水のためダムが建設されることになり、沈む村の住人に移転補償金が支払われる。主人公の少女オルタンス(パスカル・オードレ*2)の父は大地主で、3000万フランの補償金を手にするが、どこかに隠したまま急死、遺産を狙う親戚たちは互いに醜い争いを繰り広げながら、次々彼女を脅したりだましたりして、金のありかを知ろうとする。
 しかし彼女は地下室に監禁されても耐え続け、いよいよ村がダムの底に沈む日(その日はオルタンスが成人を迎える日だった)、隠していた巨額の金を、親戚たちが運び出すテレビの箱に移す。地下室を自力で脱出し、親戚や公証人が集まる家にたどり着いたオルタンスは、衆目の中、テレビの箱から金を取り出し、彼女の包囲網に加わらなかった金銭に無頓着な羊飼いのシモン叔父の所へスクーターに乗って悠々と向かう、という物語だ。
 この主題歌を「デュランス河の流れのように 仔鹿の様なその足で 駆けろよ 駆けろ かわいいオルタンスよ 小鳥のように いつも自由に」という音羽たかしの訳詞*3で、1958年に大ヒットさせたのが中原美紗緒という当時人気のシャンソン歌手である。「ソレイユ」「ひまわり」などの女性誌で知られる画家の中原淳一が叔父で、彼が描く女性を髣髴とさせるような魅力を持った彼女は1931年生まれ、東京芸大声楽科卒業後、1956年にデビューし、その年から7年連続で紅白歌合戦に出場している。58年からは現TBSテレビ系の連続ドラマ「あんみつ姫」の主役を演じ、その年の紅白では「河は呼んでる」を歌った*4。
 1963年に結婚、66年に育児のため引退したが、78年に復帰、テレビの子ども向け番組などで活躍した。しかし、がんに侵され、97年に65歳で死去。忘れられない歌手である。

*1 プロバンス地方はボルドー、ブルゴーニュと並ぶワインの産地で、マルセイユや、トゥーロン、カンヌ、リヨン、ニースなど地中海沿いのリゾート地がある。デュランス河はプロバンス地方の山岳部を流れ、「橋の上で踊ろよ踊ろよ」という歌詞で有名なアビニヨンでローヌ川に合流する。
*2 パスカル・オードレ(1936〜2000)の娘がNHKのフランス語講座やCMモデルとして活躍した美人女優のジュリ―・ドレフュスだが、彼女を「お母さんそっくり」と表現する人が多く、パスカル・オードレも素敵だったに違いない。ただ、晩年は不遇で、ジュリー・ドレフュスは「毎日、電話の前で仕事の話を待っている姿が痛ましかった」と書いている。
*3 音羽たかしは、ザ・ピーナッツのカバー曲の訳詞者としてしばしば登場するが、個人の筆名ではなく東京都文京区音羽にあったキングレコードの複数の社員の総称だったようだ(城島明彦の「ちょっと危ない雑記帳」)。「河は呼んでる」には他に岩谷時子と水野汀子の訳詞バージョンがあり、水野の訳詞はタイトルが「河は呼んでいる」となっている。
*4 中原美紗緒が紅白で歌ったのは1956年、62年が「フル・フル」、57年が「ジェルソミーナの歌」、58年「河は呼んでる」、59年「ある恋の物語」、60年「ロマンティカ」、61年「ボーイハント」。このほか代表曲に「パリのお嬢さん」「私の心はバイオリン」「バス通り裏(NHK連続ドラマのテーマ)」「夜は恋人(マルマン映画劇場テーマソング)」などがある。



<注>タイトルが「か」で始まる曲はかなり多い。例えば=かあさんの歌(唱歌)、海岸通(風)、快盗ルビイ(小泉今日子)、買物ブギ(笠置シズ子)、かえしておくれ今すぐに(ザ・ピーナッツ)、帰ってきた酔っぱらい、悲しくてやりきれない(フォーク・クルセダーズ)、帰ってこいよ(松村和子)、帰らざる日々(アリス)、帰らない(清水健太郎)、帰りたい帰れない(加藤登紀子)、帰りたくないの(園まり)、かえり船(田端義夫)、帰り道は遠かった(チコとビーグルズ)、帰ろかな、加賀の女(北島三郎)、案山子(さだまさし)、輝きながら…(徳永英明)、柿ノ木坂の家(青木光一)、影を慕いて(藤山一郎)、翳りゆく部屋(ユーミン)、傘がない(井上陽水)、カサブランカ・グッバイ(鳥羽一郎)、カサブランカ・ダンディ(沢田研二)、飾りじゃないのよ涙は(中森明菜)、カスバの女(扇ひろ子)、カスマプゲ(李成愛)、風(シューベルツ)、風が泣いている(スパイダーズ)、風立ちぬ(松田聖子)、風に立つ(坂本冬美)、風になりたい(BOOM)、風の谷のナウシカ(安田成美)、風の盆恋歌(石川さゆり)、片思い(中尾ミエ)、片恋酒(宮史郎)、かたつむり(童謡)、カッコマン・ブギ(ダウンタウン・ブギウギ・バンド)、喝采(ちあきなおみ)、勝手にしやがれ(沢田研二)、勝手にシンドバッド(サザン・オールスターズ)、加藤隼戦闘隊(軍歌)、悲しい色やね(上田正樹)、悲しい酒、悲しき口笛、川の流れのように(美空ひばり)、悲しみがとまらない(杏里)、悲しみにさようなら(安全地帯)、哀しみ本線日本海(森昌子)、悲しみよこんにちは(斉藤由貴)、カナダからの手紙(平尾昌晃&畑中葉子)、神様お願い(テンプターズ)、カメレオン・アーミー、カルメン77(ピンクレディー)、仮面舞踏会(少年隊)、かもめが翔んだ日(渡辺真知子)、かもめはかもめ(研ナオコ)、唐獅子牡丹(高倉健)、からたち日記(島倉千代子)、カリフォルニア・コネクション(水谷豊)、枯木灘残照(都はるみ)、カローラUにのって(小沢健二)、河内おとこ節(中村美律子)、川は流れる(仲宗根美樹)、完全無欠のロックンローラー(アラジン)、勘太郎月夜唄(小畑実)、神田川(かぐや姫)、乾杯(長渕剛)、関白宣言(さだまさし)




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