明日 I will support Ohashi For tomorrow. 大橋健一
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市民が主役

惰学記


レモンのキッス

 ナンシー・シナトラ(1940〜)は、歌手兼俳優として一世を風靡したフランク・シナトラ(1915〜98)の娘である。親バカの極みのような話だが、1960年に父シナトラがエルビス・プレスリーと競演したテレビ番組に、ナンシーが特別ゲストとして登場。これをきっかけに芸能界入りし、その翌年「カフスボタンとネクタイピン」でレコードデビューした。
 「レモンのキッス」は62年にリリースされた曲で、日本やイタリアでヒットしたが、元々カプリング曲の「To Know Him Is To Love Him」(邦題「逢ったとたんに一目ぼれ」=名訳だ*1)の方がA面だったため、米国では「レモンのキッス」は全く話題にならなかったようだ。ところが日本では、「Like I Do」が原題で「レモン」のレの字も元の詞にはなかったのに、安井かずみ*2が「恋をした女の子 誰でもが好きなこと 目を閉じて静かに待つ 甘いレモンのキッスよ」という詞をつけ、「レモンのキッス」という題でザ・ピーナッツや森山加代子らが競作し、大ヒットとなった。ナンシーの英語盤も日本では「レモンのキッス」として発売されヒット。「逢ったとたんに一目ぼれ」はB面になっていた。
 この曲のルーツは、ポンキエルリというイタリア人が作ったオペラ「ジョコンダ」の挿入曲「時の踊り」で、バレエ音楽としてはかなり有名な曲である。親しみやすい印象的なメロディーで、ディズニーのアニメ「ファンタジア」に使われたほか、CMのバックにもよく流れる。小柳ゆきが02年にヒットさせた「Lovin’ You」もこの曲のカバーである。
 「レモンのキッス」がヒットしたため、日本ではナンシーの曲に、「イチゴの片想い」「リンゴのため息」とフルーツ名が枕詞のようにつくことになるが、いずれも原題は果物とは一切関係ない。ナンシーが米国で本格的にブレークするのは66年以後で、「憎いあなた」「シュガータウン」「サマーワイン」などは一転して大人っぽいけだるさが魅力である。

*1 昔のポップスの和題にはこのような名訳がたくさんあったが、80年代くらいから、訳さず英語タイトルのままでリリースするケースが多くなった。英文のままの方がしゃれていてかっこいいと若者が思うようになったことの影響もあるが、それをいいことにプロデューサーがズボラになった面もあるのではないか。映画のタイトルも同じで、翻訳語を練り上げるという日本語の文化にとって決して良いことではないと思う。
*2 作詞家・安井かずみ(1939〜1994)は、当時まだ学生で、「みナみカズみ」というペンネームで、主にポップスの訳詞をしていた。この曲も訳詞者は「みナみカズみ」となっている。



※タイトルが「れ」で始まる曲は少ない。れんげ草(ビリーバンバン)、恋愛写真(大塚愛)、恋愛戦隊シツレンジャー(後浦なつみ)、恋愛レボリューション21(モーニング娘。)、麗人草の歌(林伊三緒)、檸檬(さだまさし)、連絡船の唄(菅原都々子)−−が浮かぶ程度である。



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