明日 I will support Ohashi For tomorrow. 大橋健一
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市民が主役

惰学記


月光仮面は誰でしょう

 「祝十郎」という名前は我々世代なら「誰もがみんな知っている」はずだ。白装束に白マント、額に三日月マークの白覆面にサングラスの正義の味方・月光仮面がオートバイを駆使して悪者を退治するという国産初の連続テレビ映画「月光仮面」の主人公*1である。
 1958年2月から59年7月まで130回放映されたが、制作したのは、阿久悠が無名時代に勤めた宣弘社*2。森進一の「おふくろさん」騒動*3で08年の死去直前まで名をとどろかせた川内康範が原作を書き、主題歌を作詞*4した。祝十郎は探偵事務所を経営し、いざという時は月光仮面に変身して悪をやっつけ、「疾風のように去って行く」のである。
 私は幼いころ「月光仮面」と「スーパーマン」を毎回食い入るように見ていたので、月光仮面は和製スーパーマンだと思っていた。しかし今にして思えば、川内康範がアメリカかぶれの焼き直し作品を書くはずがなく、月光仮面は鞍馬天狗の現代版だったのである。
 黒装束黒頭巾で馬に乗って現れる鞍馬天狗と月光仮面のいでたちは対照的過ぎて、どこか似ている。ただ、鞍馬天狗との違いは、鞍馬天狗と勤皇の志士倉田典膳が同一人物であることは皆が分かっているのに対し、月光仮面では、登場人物はもちろん視聴者にも祝十郎=月光仮面とは「正式には」知らされないことだ。出演者紹介の字幕も「月光仮面 ?」で、祝が変身する場面は決して出てこない。だから「月光仮面は誰でしょう」なのである。
 年末年始にタイガーマスク現象が起きた時、昔は施設に匿名で寄付する人は月光仮面を名乗っていたのを思い出した。匿名で寄付する側の人間の幼少時のヒーローが、時代とともに変わっていくのを実感して感慨深かったが、そのタイガーマスクも、スーパーマンも仮面ライダーやウルトラマンも、登場人物は「正体」を知らないが、視聴者には最初から知らされている。分かっていながら月光仮面を正体不明とした川内康範の意図は謎である。

*1 祝十郎=月光仮面を演じた東映の大部屋俳優・大瀬康一は、この作品によって一躍スターになり、後に同じTBS系の時代劇「隠密剣士」(1962〜65)でも人気を上昇させたが、当時の人気女優高千穂ひづると64年に結婚、その後引退して実業界に転じた。高千穂ひづるは、1933年生まれ、父は「俺がルールブックだ」の名言で知られるプロ野球審判二出川延明。宝塚出身で、松竹、東映で時代劇のお姫様役やメロドラマの主役を演じ人気があった。
*2 宣弘社は屋外広告や車内広告などを手掛ける広告代理店だったが、民放テレビの放送開始以来テレビに進出、子会社である宣弘社プロダクションを設立し、1958年からテレビ映画制作も始めた。その第1号作品が「月光仮面」だった。阿久悠は明治大学卒業後、宣弘社で1966年まで勤務していた。
*3 2006年のNHK紅白歌合戦で森進一が「おふくろさん」を歌った際、元の歌詞にはない台詞を入れたことに川内康範が著作権侵害だと反発し、「もう森には歌ってもらいたくない」と激怒した騒動。森はこの楽曲を封印することを宣言したが、川内が08年7月に死去するまで和解は成らず、その年11月に遺族とようやく和解し、「封印」が解かれた。
*4 川内康範作詞の主なヒット曲は▽誰よりも君を愛す(マヒナスターズ、松尾和子)▽恍惚のブルース、伊勢佐木町ブルース(青江三奈)▽東京流れ者(竹腰ひろ子)▽骨まで愛して(城卓矢)▽愛は惜しみなく(園まり)▽君こそわが命(水原弘)▽花と蝶(森進一)▽愛は不死鳥(布施明)▽嘘でもいいから(奥村チヨ)▽座頭市の歌(勝新太郎)▽にっぽん昔話(テレビ主題歌)▽遭わずに愛して(クールファイブ)などである。また、「月光仮面の歌」の歌詞は以下の通りである。
どこの誰かは 知らないけれど  誰もがみんな 知っている  月光仮面の おじさんは
正義の味方よ 善い人よ  疾風のように 現れて  疾風のように 去って行く
月光仮面は 誰でしょう  月光仮面は 誰でしょう


<題名が「げ」で始まる主な歌>ゲイシャ・ワルツ(神楽坂はん子)、ゲゲゲの鬼太郎(アニメ主題歌)、月光(鬼束ちひろ)、月光値千金(エノケン)、月月火水木金金(軍歌)、ゲレンデがとけるほど恋したい(広瀬香美)、玄海ブルース(田端義夫)、元気を出して(竹内まりやなど)、げんこつやまのたぬきさん(童謡)



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