明日 I will support Ohashi For tomorrow. 大橋健一
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市民が主役

惰学記


錆びたナイフ

 このシリーズ、石原裕次郎の歌がまだ一度も出ていないので、今回はデビュー2年目という初期のヒット曲「錆びたナイフ」(萩原四朗作詞、上原賢六作曲)について書く。
 「錆びたナイフ」は1957年8月に、「何とか言えよ」という曲のB面で発売された。これが予想外にヒットし、翌年には同名映画が北原三枝、小林旭、宍戸錠、白木マリ、安井昌二、高原駿雄、杉浦直樹らが出演する「日活アクション巨編」として製作され、3月に公開された。同年の正月映画だった「嵐を呼ぶ男」が爆発的なヒットとなり、各地の日活系映画館主から「次の裕ちゃんの映画を早く」という要望が殺到したため、新人監督だった舛田利雄*1を起用し、大急ぎで製作されたという。裕次郎と小林旭が本格的に共演した映画は他には「勝利者」「今日のいのち」「幕末太陽伝」(57年)と、67年の浜田光夫主演オールスター作品「君は恋人」、68年の「遊侠三国志 鉄火の花道」の計6本しかない。
 映画のストーリーは、ある新興工業都市を支配する正体不明のボスの、邪魔者は容赦なく消してしまう無法と暴力に町の人々は沈黙するしかなかったが、過去の罪への自責の念で静かに暮らしていた酒場の支配人(石原裕次郎)が弟分(小林旭)を殺されたことから、悪を滅ぼすためについに立ち上がるというアクションものの定番パターンだ。しかし、裕次郎の魅力、北原三枝の凛々しさ、そして脇役陣の好演で、それなりの作品に仕上がった。
 さて、裕次郎の歌の方だが、実は作詞者の萩原四朗(1906〜1993)が石川啄木のファンだった。「砂山の砂を 指で掘ってたら 真っ赤に錆びた ジャックナイフが出てきたよ」という歌詞は、ジャックナイフとピストルの違いはあるものの、石川啄木の「一握の砂*2」の一節である「いたく錆びし ピストル出でぬ 砂山の 砂を指もて 掘りてありしに」がモチーフになっているのは明らかである。なお、萩原四朗はこの他にも「赤いハンカチ」(1962年)や、浅丘ルリ子とのデュエット曲「夕陽の丘」(1963年)を作詞*3している。

*1 舛田利雄(1927〜)は裕次郎映画の「青年の樹」(1960年)、「花と竜」(62年)、「赤いハンカチ」(64年)のほか、「二百三高地」(80年)、大日本帝国(82年)、「零戦燃ゆ」(84年)などの戦争映画、「首都消失」(87年)、「社葬」(89年)、それにアニメの「宇宙戦艦ヤマト」シリーズなどを演出している。
*2 「一握の砂」は1910年刊の啄木処女詩集。「我を愛する歌」「煙」「秋風のこころよさに」「忘れがたき人人」「手套(てぶくろ)を脱ぐ時」の5章に分けて1首3行書きの短歌が計551首収められている。第1章の「我を愛する歌」は、有名な「東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる」に始まる151首が入っており、「いたく錆びし……」は4首目にある。「錆びたナイフ」の2番の歌詞の最後は「小島の磯だ」だが、このフレーズも当然「東海の小島の磯の白砂に」から取られている。
*3 いずれも作曲は「錆びたナイフ」と同じ上原賢六である


<曲名が「さ」で始まる歌>再会(松尾和子)、西海ブルース(クールファイブ)、さいはて慕情(渚ゆう子)、サウスポー(ピンクレディー)、酒場にて(江利チエミ)、盛り場ブルース(森進一)、佐久の鯉太郎(橋幸夫)、さくら(ケツメイシ)、桜(コブクロ)、さくら〜独唱(森山直太朗)、さくら貝の歌(岡本敦郎他)、桜坂(福山雅治)、さくらんぼ(大塚愛)、酒と泪と男と女(河島英五)、酒よ(吉幾三)、細雪(五木ひろし)、サザエさん(アニメ主題歌)、サザン・ウインド(中森明菜)、さざんかの宿(大川栄策)、さそり座の女(美川憲一)、サチコ(ニック・ニューサー)、薩摩の女(北島三郎)、さとうきび畑(森山良子)、佐渡おけさ(民謡)、砂漠のような東京で(いしだあゆみ)、淋しい熱帯魚(wink)、錆びたナイフ(石原裕次郎)、サファイアの瞳(ALFEE)、サボテンの花(チューリップ)、寒い朝(吉永小百合&マヒナスターズ)、寒い夜だから(trf)、さようならは五つのひらがな(ロスプリモス)、さよなら(オフコース)、さよならをするために(ビリーバンバン)、さよなら大好きな人(花*花)、サヨナラ東京(坂本九)、さよなら夏の日(山下達郎)、さよならの果実たち(荻野目洋子)、さよならの向う側(山口百恵)、さよならはダンスの後に(倍賞千恵子)、サライ(加山雄三&谷村新司)、さらば恋人(堺正章)、さらば青春(小椋佳)、さらば涙と言おう(森田健作)、さらばハイセイコー(増沢末夫)



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