明日  I will support Ohashi For tomorrow. 大橋健一
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市民が主役



惰学記




Five Pennies

 Fの2曲目。映画音楽が続くが、この懐かしい曲と映画について書かずにはいられない。
 「Five Pennies*1」は「5つの銅貨」という邦題で1960年に公開された実在のコルネット*2奏者レッド・ニコルズの半生を描いた映画で、その主題歌のタイトルでもある。この手の作品としては、米国のジャズ界で活躍した2人の大スターの伝記映画「グレン・ミラー物語(53年)」「ベニー・グッドマン物語(55年)」などがあるが、彼らよりは少しマイナーな感じのレッド・ニコルズを扱った「5つの銅貨」の出来栄えが最も良かったらしい。
 米西部ユタ州の楽団でコルネットを吹いていたレッド・ニコルズ(ダニー・ケイ*3)は、サッチモことルイ・アームストロングにあこがれてニューヨークに行き、数々の武勇伝を残しつつ、知り合ったサッチモに才能を認められ、バンド仲間で妻となったボビーの助けを得てジミー・ドーシーやグレン・ミラーらをメンバーに「Five Pennies」というバンドを結成し、全米を演奏旅行して人気を得た。その絶頂期、寄宿学校に入っていた娘ドロシーがポリオと脳炎を併発、一命は取り留めたものの医師から一生歩けないと宣告される。レッドは娘と一緒に暮らせなかった自分を責め、コルネットを捨ててバンドを解散する。
 数年後、造船工場で働いていたレッドは妻や娘の勧めもあってカムバックを決意し、カンを取り戻すために猛練習。ようやくステージに立てるようになったが、観客はまばら。気を取り直して演奏を始めると、そこにサッチモや昔のバンド仲間がやってきて一気に大盛り上がり。そして娘は杖も補助具もなしで歩けるようになっていた、という笑いあり涙ありの感動作だ。公開から53年も経つが、当時見た私自身この映画を今も鮮明に思い出す。
 「Five Pennies」というテーマ曲はダニー・ケイの妻シルビア・ファインが作詞作曲した*4。歌詞もケイの歌も素晴らしい。日本でも確かミッキー・カーチスが歌っていた。
 
*1 厳密に言えば「The Five Pennies」とTheが付く。1959年制作、60年公開のパラマウント映画である。pennyは辞書には「英国の通貨の補助単位。1ペニーは1/100ポンド」とあり、複数形はpenceと記されている。しかし「Five Pennies」のpennyは単に銅貨、小銭という意味で、複数形もpenniesとなる。
*2 コルネットはトランペットに似た金管楽器で、トランペットよりずんぐりしている。第2次大戦前はかなり広範囲に使われていたようだが、徐々に主役の座をトランペットに譲ったらしく、この映画でも、カムバック前のレッドが娘の友達に「コルネットって何?」と聞かれて怒る場面があった。もっとも、今も吹奏楽では使われているようだ。
*3 ダニー・ケイ(1913〜87)はミュージカル出身の喜劇俳優で、パントマイムや顔芸、早口言葉など多彩な芸で人気があった。クレージーキャッツの谷啓はダニー・ケイへの尊敬の気持ちから芸名をつけた。歌もうまく、彼の見事な演技によって「5つの銅貨」は感動的な作品に仕上がったといっても過言ではないと思う。なお、この作品のルイ・アームストロングは本人が演じており、彼の存在感も映画の成功をもたらした要因だろう。
*4 「Five Pennies」のほか、映画で歌われる「ラグタイムの子守歌」「ぐっすりおやすみ」の2曲も彼女の作品である。この映画がアカデミー賞を何ももらわなかったのは不思議だ。なお、映画音楽としてアカデミー作曲賞、歌曲賞にノミネートはされたという。「Five Pennies」の歌詞は以下の通りだ。

This little penny is to wish on and make your wishes come true.
This little penny is to dream on And dream of all you can do.
This little penny is dancing penny,See how it glitters and it grows,
As bright as a whistle,light as a thistle,
Quick, quick as a wink,up on it`s twinkling toes.
Oh,This little penny is laugh on  To see that tears never fall.
This little penny is the last little penny And most important of all.(repeat)
For this penny is to love on, and where love is heaven is there,
So with just five pennies if they‘re these five pennies  You‘ll be a millionaire.

訳詞(HP「KINEMOUNT PICTURE」より)
これは願いごとの銅貨 願いをかなえてくれる
これは希望の銅貨 夢を見せてくれる
これは踊る銅貨 キラキラ輝いている
口笛のように軽く 花のように明るく
まばたきのように ほんの一瞬だけ
これは笑いの銅貨 涙から守ってくれる
これは最後の銅貨 何よりも大切なもの
愛を教えてくれる 天国のある場所を
五つの銅貨があれば 君は百万長者さ



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