ブロードウェイで1956年から6年半という記録的なロング・ランとなったミュージカル「マイ・フェア・レディ」のイライザ役を演じたのはイギリス出身のジュリー・アンドリュースだった。ところが1964年に映画化されるにあたって、製作者のジャック・ワーナーが主役に選んだのはオードリー・ヘプバーンだった。当時ジュリーは国際的な知名度が低く、ヒットしないと考えたようだ。ヒギンス教授もイライザの父も舞台と同じ配役だったから、ジュリーだけが外された格好になる。彼女の屈辱感、悔しさの程は十分に想像できる。 |
同じ年、ウォルト・ディズニーの懇請でジュリーは「メリーポピンズ」に主演、見事アカデミー主演女優賞を獲得した。「マイ・フェア・レディ」は作品賞や主演男優賞、監督賞など9部門で受賞したのに、オードリーは主演女優賞にノミネートすらされなかった。彼女は歌唱力に問題があり、「I could have danced all night!(踊り明かそう)」など歌の大部分はマーニ・ニクソン*1という歌手が吹き替えた。これが響いたのと、ジャック・ワーナーに外されたジュリーへ同情が彼女を受賞に導いたといわれる。アカデミー賞に先立ち、同じ「メリーポピンズ」でゴールデングローブ賞を受賞した時、彼女はあいさつで「私を選ばなかったジャック・ワーナー氏に感謝します」というキツいスピーチをしている。 |
アカデミー賞授賞式には、ノミネートされなかったオードリーがプレゼンターで登場、彼女からオスカー像を受けた主演男優賞のレックス・ハリスンは「2人のフェアレディズに感謝します」と両人に気配りのスピーチ。次にジュリー・アンドリュースが「アメリカの方が親切だとは知っていましたけど、私にこの名誉をくださるなんて」とあいさつしたが、オードリーの抱擁を受け、ひどく動揺した表情をテレビカメラに捉えられたという。「踊り明かそう」を聴くたびに、2人の女優が繰り広げた人間ドラマを思い出してしまう。 |
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<曲名がIで始まる主な歌>
I CAME FROM横須賀(山口百恵)、if(西野カナ)、I’ll Follow The Sun(ビートルズ)、I LOVE YOU(尾崎豊)、Love you,SAYONARA(チェッカーズ)、I ’m proud(華原朋美)、IT'S ONLY LOVE(福山雅治)、innocent world(ミスチル)、I Will Follow Him(ペギーマーチ)、I Wish For You(EXILE)彼女
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