「Runaway」というタイトルを聞くと、中高年の歌好きなら2つの曲がすぐ頭に浮かぶはずだ。シャネルズ1980年2月のデビュー曲「ランナウェイ」(湯川れい子作詞、井上忠夫作曲)と、デル・シャノン(1934~90)のアメリカンポップス「Runaway」である。 |
デル・シャノンの「Runaway」は彼自身の作詞作曲で、61年に大ヒットした。邦題は「悲しき街角」で、飯田久彦がカバー、その後も柳ジョージ、斉藤和義ら*1が歌い継いでいる。デル・シャノンは日本で「街角男*2」と呼ばれたが、その後90年に猟銃自殺した。 |
シャネルズの方はライブハウスなどで活躍するアマチュアバンド出身で、プロの評価が高く、現在のテレビ東京の番組に出演していた。リーダーでメインボーカルの鈴木雅之、サイドボーカルの田代まさしら4人が顔を黒塗りして前に立ち、顔を塗っていないトランペットの桑野信義ら6人との対照を強調した10人編成グループとして本格デビューした。 |
さて、「ランナウェイ*3」は、鈴木雅之のハスキーなボーカルと、ドゥー・ワップと呼ばれるリズミカルな黒人コーラス風の歌いぶり、さらに桑野信義の見事なトランペット演奏で、80年の売り上げ4位を記録した。その後もヒットを連発した*4が、不祥事と背中合わせ*5のグループで、半年後に早くも謹慎している。後にユニット名を「ラッツ&スター*6」に変えて「め組のひと」という化粧品会社とのタイアップ曲をヒットさせたが、脱退者が相次ぎ、86年ごろ活動休止状態となった。今は、鈴木ひとりが歌手として活躍中だ*7。 |
シャネルズの「ランナウェイ」は「駆け落ち」という意味だ*8が、デル・シャノンの方は彼女が去っていったという「Runaway」で、失恋ソングである。同名でも曲想が大違いなのはそのためだ。余談だが、英語に弱い私は「runaway」に滑走路という意味もあると思っていたが、滑走路は「runway」だということに初めて今回知った。恥ずかしい。 |
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