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森は海の恋人

 宮城県の気仙沼湾でカキの養殖業を営む傍ら、「牡蠣の森を慕う会」を結成し、漁民による広葉樹植林活動を続けている畠山重篤さんの「森は海の恋人」と題する講演を聞いた。和歌山市は奈良県川上村の三ノ公に源流を発し、136kmの旅の間にいくつもの支流を集めて紀伊水道に注ぐ紀の川(奈良県内では吉野川)の恵みで発展した都市であることは何度か書いたが、その紀の川流域12市町村で構成する「吉野川・紀の川流域協議会」が毎年開催している「水環境に関する講演会」の講師に畠山さんを招いたのである。
 紀伊水道で取れる魚がおいしいのはなぜか。普通は、大阪湾が淡路島によって紀淡海峡、鳴門海峡という2つの狭い海の流れに分割され、海流が激しので、魚介類の身が引き締まるからだと説明されるが、畠山さんは両海峡のすぐ南にある紀の川と四国の吉野川の河口に注目する。世界遺産の紀伊山地から流れ出す紀の川と、四国4県の山地すべてに源流を持ち、「四国三郎」の異名で知られる大河・吉野川は、ともに森の腐葉土をいっぱい飲み込んで流れ、紀伊水道にプランクトンを育てる養分を大量に吐き出す。植物プランクトンが成長し、動物プランクトンに食べられ、動物プランクトンが魚介類のえさになる。海水と川から流れ出した淡水が交じり合う河口の汽水域こそが最も養分豊かな場所で、だからこそ紀伊水道で取れる魚は味がいいのだ――というのが畠山さんの主張で、川が流れ込む深い入り江や湾はプランクトンの宝庫であり、魚介類の養殖場としても優れているという。
 ただし、それは水源地の森が健全で、ブナやナラなどの広葉樹が、陽光と雨の恵みを受けて育ち、養分を大量に含んだ腐葉土を川に与える営みが続いていることが必須条件である。だからこそ「森は海の恋人」であり、豊かな海を取り戻すために漁業関係者が率先して植林活動を、と畠山さんは訴え続けているのである。畠山さんの話で一番驚いたのは、ほぼ同面積の東京湾と鹿児島湾のどっちが魚が多く取れるかという質問だった。答えは「東京湾の方が30倍も多く取れる」だそうだ。鹿児島湾は噴火でできた海で、川がほとんど流れ込んでいないのに対し、東京湾は水質が悪くても、鶴見川、多摩川、隅田川、江戸川、養老川、小櫃川、小糸川などたくさんの川が注いでいて、栄養満点だからだという。
 吉野川・紀ノ川流域協議会や、和歌山市と川上村の「水資源保護に関する協定」に基づく「市民の森」活動は、和歌山市民の飲料としての水、稲作や柿、桃、イチゴ、みかんなどの果樹栽培に欠かせない水、そして工業用水として地場産業振興に必要な水を守るため水源地の森を整備するとともに、水質汚濁を防ぐための取り組みを行うのがテーマだとこれまで考えていたが、私の大好きな魚やイカ、タコ、貝、海藻類もまた、森を育てることで漁獲量が増え、味も良くなることを勉強させてもらった。「目からウロコ」である。

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