I will support Ohashi For tomorrow.
 HOME / ごあいさつ / 自分史(1946〜2002) / 父との別れ / 憂楽帳 / 惰学記 / 父の思い出 / 後援会 / 大きなうた / 余談独談



稲むらの火の館

 1854年に起きた安政の東海・南海地震に遭遇した紀伊国有田郡広村(現広川町)の素封家・濱口梧陵が、津波で浜や沖合いに取り残された人々を救うために、自分の田んぼに積み上げていた稲むらに次々火をつけ、その火を道しるべに村人を避難させたという逸話については、「余談独談」に昨年も書いた※が、その濱口梧陵を記念して、津波被害防止啓発のための施設として県と広川町が新設したのが「稲むらの火の館」である。数寄屋造りの梧陵の旧宅を改修して、梧陵の偉大な事跡の数々を示す資料を展示している「浜口梧陵記念館」と、それに連なる形で、敷地の一角に新築された最新設備を持つ「津波防災教育センター」から成り、入場料は大人500円、高校生200円、小中学生100円だった。
 05年暮れのスマトラ沖地震で発生したインド洋大津波による各地の衝撃的な惨状をまとめたビデオやパネル展示、普通の波と津波の違いを模型で実験できる「津波シミュレーター」など勉強になるコーナーがたくさんあるが、うれしかったのは、津波被害を防ぐための住民のさまざまな取り組みを紹介するコーナーで、余談独談にも取り上げた※※ことのある和歌山市磯ノ浦防災会の避難場所整備や案内板設置が紹介されていることだった。
 設備で一番感心したのは、和歌山市消防局も制作に協力した3D画面の「津波映像シアター」だ。特殊な眼鏡をかけて見ると、津波が和歌山市や県下のまちを襲う様子をかなりリアルに体験できる。実は、3年前に建て替えた和歌山市の消防本部庁舎にも防災学習センターを設置しており、こちらは無料で見学できる。そこにも小劇場があって、津波の恐ろしさを伝える映像と、台風など風水害への備えを啓発するビデオを上映している。台風のビデオはともかくとして、津波の方はストップモーションを駆使したもので、ジワーッと怖さが伝わる作品であり、なかなかの出来だと思っていたが、「稲むらの火の館」の津波映像を見たら、制作費もずっとかかっていて、出来栄えに歴然とした差があった。
 和歌山市の消防職員もボランティア出演しているのだから、プリントを借りてきて市の防災学習センターでも上映できないかと思って尋ねてもらったのだが、3D映像を映写できる設備にするのに約1億円の改修費、設備費が必要で、さらに、プリント代も著作権の関係で同じく約1億円だと言われてしまった。啓発が目的の映画だから、より多くの人に見てもらえる方がいいに決まっていると思ったのだが、そうはいかないらしい。百年後の津波に備えるため、巨額の私財を投じ、高さ5m、幅20m、長さ600mの大堤防を築き、工事に村人を雇用して村の復興を達成した濱口梧陵の精神とは違う気もするが、国から多額の交付金をもらって建てた関係でルールに縛られ、融通がつかないのかもしれない。


※05年3月29日「巨大地震」、※※6月27日「ご近所の底力」。いずれも「元記者市長の雑学自典」に収録している。

「稲むらの火の館」と浜口梧陵記念館の案内パンフレット 展示コーナーに和歌山市磯ノ浦自治会・防災会の取り組みがパネルで紹介されており、うれしかった


<back>

 HOME / ごあいさつ / 自分史(1946〜2002) / 父との別れ / 憂楽帳 / 惰学記 / 父の思い出 / 後援会 / 大きなうた / 余談独談

 大橋建一へのご意見等は、こちらから。  E-Mail : info@ken-ohashi.jp