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十姉妹の謎

 漢字は横棒の長さ一つで全く別の字になるものがある。「土」と「士」、「末」と「未」がその代表的なものだろう。小学校で漢字を習う時に、先生が口を酸っぱくして違いを教え込むが、意味が遠い「土」と「士」はほとんどの学童がマスターしても、「末」と「未」の方は、どっちも時間と関係のある抽象的な概念だけに、理解しにくい子も多いようだ。
 しかし「土」と「士」の混同が全くないかというと、実はある。「吉」という漢字である。誰でも知っているように、「吉」は「口」の上が「士」なのだが、世間には「口」の上が「土」の「吉」を使う「ヨシダ」さんや「ヨシハラ」さん、「アリヨシ」さんが少なくない。漢和辞典によれば、「吉」は「吉」の俗字で、異体字と言うよりは誤字に近い(異体字と認めている辞書もある)。しかし、戸籍が「吉」になっていて、代々この字を使っているのだから、市の戸籍係が「吉は間違いで、本当は吉ですよ」といくら説明しても納得してもらえるわけがない。この字は普通のパソコン辞書にはないので、役所では作字し保存している。「吉」の字にこだわる人は、パソコンで自分の名前を入力する度に腹を立てているに違いない。
 そういえば、牛丼の「吉野家」も「吉野家」である。吉野家のホームページを見ると、看板やイラストは「吉」を使い、活字の部分は仕方なく「吉」で代用している。そのバラつきに「吉」へのこだわりと、その「吉」がパソコンでは出ないことへの戸惑いが感じられる。
 一方、「末」と「未」を混同した例としては鳥の名前「十姉妹」をあげることができる。十姉妹は文鳥やカナリア、オウムなどと並んで人気のある飼い鳥だ。河端寛司さんという愛好家のホームページ「ジュウシマツへの招待」によると、十姉妹の祖先は野生の「コシジロキンパラ」で、江戸時代に中国南部、上海の南、紹興酒で有名な紹興とか寧波がある浙江省から輸入されたという。その鳥になぜ十姉妹という名前がついたのか。これも受け売りだが、中国には古くから女性が団結して夫の行状を監視する伝統があって、これを十姉妹と呼んでいたのだそうだ。そこから、団結する、群れをなす鳥ということでコシジロキンバラを十姉妹と呼ぶようになり、その名前がそのまま日本に伝わったのだという。そこまでは分かるが、ではなぜ十姉妹と書いて「じゅうしまつ」と読むのだろう?
 「姉妹」の妹は女偏に未来の未である。漢字の音はmaiで、中国音はmei。ちなみに未の中国音はweiで、末の中国音はmoである。女偏に末広がりの末の「堰vは全く別の字で、学研の漢和辞典(藤堂明保編)には中国夏王朝滅亡の原因となった桀王の妃の名とある。この字なら「まつ」と読めるだろうが、十姉妹は「姉妹」であり、書き取りテストで女偏に末と書いたら間違いなく×である。鳥の名前の時だけ「まつ」と読む理由となると、いくら調べてもはっきりしない。「末」と「未」の混同が原因としか思えないのである。


十姉妹

吉野家


十姉妹=「ジュウシマツへの招待」ホームページから




吉野家D&Cのホームページ表紙。デザイン文字は下の長い吉、活字部分は吉になっている



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