I will support Ohashi For tomorrow.
 HOME / ごあいさつ / 自分史(1946〜2002) / 父との別れ / 憂楽帳 / 惰学記 / 父の思い出 / 後援会 / 大きなうた / 余談独談



「爆笑お言葉集」と「言葉のちから」

 最近読んだ2冊の本の話を書く。まず、「判事の皆さん、おかしすぎます!!」という帯のついた幻冬社新書の「裁判官の爆笑お言葉集」(長嶺超輝著)である。題名にひかれて買ったのだが、いくら読んでも爆笑するようなところがないのである。裁判官には奇人変人が多いと前から聞いていたし、私の知り合いの判事にも変わった人がいるので、てっきりケッタイな判事のトンチンカンな発言を集めたものかと思ったのだが、実は違っていた。
 確かに、「刑務所に入りたいのなら、放火のような重大な犯罪じゃなくて、窃盗とか他にも……」と服役志願の放火犯に尋ねた静岡地裁の陪席判事とか、対立する組長を殺そうとしてスナックで銃を乱射し、無関係な市民4人を殺害した組員に「死刑はやむを得ないが、私としては、君にはできるだけ長く生きて(遺族に謝罪を続けて)もらいたい」と説諭した前橋地裁の久我裁判長の話などはちょっと笑ってしまうが、爆笑というほどではない。
 むしろ和歌山地裁・小川育央裁判長が、カレー事件の林真須美被告に、死刑判決の理由として述べた、無念の死を遂げた4人のことに触れた一節などは涙なくしては読めない内容だ。この題名は著者の案ではなく、出版社側の「売らんかな」精神の産物に思える。
 文春文庫「言葉のちから」は言語学者・鈴木孝夫さんの講演やインタビュー記録8本をまとめたものだ。実に変わった本で、8つの話はすべて同趣旨の主張の繰り返しである。
 「日本は有史以来一貫して、外国から学んだ知識を日本の伝統に合うよう換骨奪胎して吸収した。七五三は神社、結婚式は教会、葬儀は坊さんという具合に、神道も仏教もキリスト教も峻別せず、みんな一緒に仲良くという原始的だが平和な宗教観を保ち続けてきたことが日本の良さだ。日本語という吸収力のある言葉が全国に通用し、外国の文献は知識人の手ですべて和訳され、一般人は日本語ですべてを学ぶことができたことで、ついに世界に冠たる経済大国になった。もはや学ぶべき外国はないのに、いまだに『もっとアメリカを学んで、日本をアメリカのように変えなければいけない』と思っている人が多い」
 「今すべきは日本語の優れた力に自信を持ち、日本語による国際的な言語交流を推進することなのに、国際化時代だから全国民が英語を使えるように小学校で英語を教えろという話になる。その結果国語力は身につかず、英語もできない日本人を大量に生み出す」
 「英語は国際共通語という役割を持っているのだから、学ぶのなら、英米の文化や風物、習慣を書いた英文を読むのではなく、日本の歴史や伝統、ものの考え方を英語で話せるような教育でないと意味がない」「日本国内で外国人に、無理に英語で話す必要はない。日本に来たのだから、あなた方が日本語で話しなさいと言うべきだ」……要約すればこういう主張であり、私も基本的には賛成だが、同じ趣旨を8回読まされると、やや閉口する。


「爆笑お言葉集」と「言葉のちから」

幻冬舎新書の「裁判官の爆笑お言葉集」(長嶺超輝著)と文春文庫の「言葉のちから」(鈴木孝夫著)


<back>
 HOME / ごあいさつ / 自分史(1946〜2002) / 父との別れ / 憂楽帳 / 惰学記 / 父の思い出 / 後援会 / 大きなうた / 余談独談

 大橋建一へのご意見等は、こちらから。  E-Mail : info@ken-ohashi.jp