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後手先手

 惰学記数シリーズ146話に続いて、余談独談も将棋の話となってしまった。将棋に興味のない方には申し訳ないが、お付き合いいただきたい。3月31日付の毎日新聞社会面*に、「後手番が初の勝ち越し」という見出しで将棋についての記事が載った。2008年度の日本将棋連盟公式対局が31日の1局を残してすべて終了したが、連盟史上初めて後手番の勝率が5割を超えたという内容である。昨年度のタイトル戦などでは後手番が勝つケースが多かったので、「やっぱりそうか」と思うと同時に、将棋の奥深さに改めて感慨を覚えた。
 盤を使って交互に石を打ったり、駒を差したりする競技のうち、囲碁、五目並べは先手有利がはっきりしている。そのため、囲碁は「コミ」というハンディキャップをつけ、先手が最終的に7目以上勝っていないと後手の勝利となる「コミ6目半**」というルールで行われている。五目並べでは、先手は「三三」はもちろん「四四」も、石が5つ以上並ぶ「長連」も反則負けとし、禁じ手がない後手より不利なようにしているが、それでも上級者になると先手有利が明白なので、連珠と呼ばれる「高級な」五目並べのルールではさらにいくつもの関門を先手に設けている。チェスの場合も先手有利が明白で、後手は引き分けに持ち込むように戦うのが定跡とされ、先後交代し何局も指して勝負を決めるのが普通だ。
 これに対し、オセロゲームは先後の優劣が不明で、むしろ後手有利と言われる。先手が最初に打てる場所は4ヵ所だが、盤を回せばどこも同じなので、実質的には後手の方に着手選択権があるためというが、理論はともかく確かに後手の方が打ちやすい感じがする。
 さて将棋である。将棋年鑑によると07年度までの12年間の平均先手勝率は.529だった。最も先手勝率が高かった04年度は実に.554、低かった99年でも.507であった。ところが08年度は実対局数2,340局のうち後手が1176勝1164敗で先手勝率は.498に落ちた。連盟が記録を取り始めた1967年以来初めてのことだという。確かに7大タイトル戦も、名人戦以外は後手が健闘していた***し、A級順位戦は後手が23勝22敗と勝ち越している。
 前にも書いたが、普通に指せば不利と言われる後手番の対策として次々新戦法が編み出されてきたのが将棋の歴史であり、最近も「4手目3三角」「2手目3二飛」など、昔は考えられなかった作戦が次々登場し、後手の勝率を上げるのに貢献している。ただ、これまでの例では、こうした新戦法に対する先手側の研究が進むにつれて新戦法の勝率が落ち、結局先手がやや有利という数字に落ち着くことが多かった。一時期、流行した振り飛車側の居飛車対策である「藤井システム」は研究されて鳴りを潜めたが、横歩取り後手8五飛戦法の「中座飛車」や「1手損角替わり」はまだまだ有効な戦術のようで、今は先手の対応策が追い付かないうちに、さらなる新戦法が次々現れ、後手の健闘を支えている状況だ。

 *この記事の肝心な数字部分に誤りがあり、翌日訂正記事が載ったのは、話題性ある独自ダネだっただけに、みっともなかった。
 **コミ碁が行われるようになったのは1939年に始まった本因坊戦からで、最初は4目半だったが、74年に5目半、02年に6目半に変更された。それでも先手有利の声があるようだ。なお、「半」がつくのは、引き分けになったとき(囲碁ではジゴ=持碁という)は後手の勝ちという意味である。
 ***08年度タイトル戦の通算成績は先手21勝19敗だが、年度の最初に行われた名人戦(先手5勝1敗)を除くと先手が16勝18敗と負け越している。4月9〜10日に行われた09年度の名人戦第1局も、後手の羽生名人が挑戦者の郷田九段を破った。年度の後半になるほど後手の勝率が上がってきたようだ。



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