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裁判員制度

 2009年5月21日、裁判員制度に関する法律が施行された。この日以後に起訴される刑事事件で、死刑や無期懲役に当たるような重大犯罪はすべて「抽選に当たった」6人の裁判員が3人の裁判官とともに審理し、5日以内に被告人の有罪無罪、死刑を含む量刑の程度を決めることになる。和歌山での第1号は、市内の隣人宅に盗みに入り、帰宅してきた68歳の女性を殺害して逃げた疑いで逮捕された54歳の男性の事件になりそうだという。
 裁判員制度は、「改革至上主義」の小泉政権時代に「司法制度改革」の一環として打ち出され、04年5月に法が成立した。当時は「改革バスに乗り遅れるな」という空気が世の中に充満しており、裁判所、検察庁、日本弁護士連合会の法曹三者が珍しく裁判員制度推進で一致、それを受けて国会では自民党から共産党まで全党が賛成した経緯もあって、制度を批判しにくい雰囲気が生まれ、マスコミも十分検証せずに賛成に回ったように見える。
 周知期間とされたこの5年間、法曹三者は制度の理解を得るため相当な努力と準備をしてきたことは認めるが、一般市民は冷淡だ。内閣府の政府広報室が05年と07年に行った世論調査では、「参加したい」「参加してもよい」の合計が05年25.6%、07年20.8%。あまり参加したくないは34.9%、44.5%、参加したくないはそれぞれ35.1%、33.6%だった。
 これが最近の産経新聞などの調査*では、なりたい人16.2%。「気が進まないが義務だから」37.2%で、「参加したくない」が46%を占める。調査方法が違うので単純に比較できないが、制度に関する情報が広まるほど、参加したくない人が増えているように見える。
 啓発に協力してきたマスコミからもようやく批判的な意見が出てきたが、「時すでに遅し」である。私は前から裁判員制度に疑問を感じており、和歌山放送ラジオのレギュラー番組でも「時期尚早ではないか」と話した**ことがある。また、今月行われた和歌山弁護士会の会合でも、来賓あいさつで、あえて裁判員制度への疑問を述べさせていただいた。
 最大の疑問は目的が不明確だということである。市民の持つ常識とか日常感覚を裁判に反映させるとともに、司法に対する国民の理解を増進させ、裁判への信頼の向上を図ることが狙いとされている。確かに裁判官の中には世間常識とかけ離れた人がいて、時に信じられないような判決が出ることもあるし、「無罪推定の原則***」が分かっていないような判事もいないわけではない。だが、だから市民が裁判に参加すべきだというのは論理の飛躍である。最近の教師は世間常識に欠けるから、学校の授業にも一般の人を参加させるべきだとか、おかしな警官が多いから警察業務に一般国民が参加すべきだと言っているようなものではないか。あくまで個人的な意見だが、裁判員制度の論理は根本的なところで何か勘違いがあるように思えてならない。次回も引き続きこの問題を考えていきたい。

*産経新聞・フジテレビが5月17日に実施した調査結果である。ちなみに裁判員制度で裁判が良くなると答えた人は28%、良くなると思わないは49%だった。
**毎月最終日曜日正午から1時間の生番組「ラジオで話そう!和歌山市」を持っており、その「ニュース拾い読み」コーナーで昨年11月30日に取り上げている。
***「推定無罪の原則」は、たとえ現行犯であろうと、取り調べで自供していようと、検察官が法廷で有罪を立証し、有罪判決が下るまでは、被告人は無罪と推定されるという近代刑事法の大原則である



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