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おくりびと

 遅ればせながら、アカデミー賞の外国映画賞を受賞した「おくりびと」を先日見てきた。実は昨秋の公開時に行くチャンスがあったが、私はほぼ同時期に公開され、柴咲コウが出ている「容疑者の献身」の方に興味があり結局そっちへ足が向いてしまったのである。
 「おくりびと」は、オーケストラの解散で失業し、故郷山形に帰ったチェロ奏者の主人公(本木雅弘)が、納棺師という仕事に巡り合い、さまざまな人の生死と向き合うことを通じて、この仕事の重さと厳粛さを体得していく。最初は猛反発した妻(広末涼子)も、あるきっかけで夫が実際に納棺する場面を見て、死者の尊厳を守り、遺族の気持ちをくみ取りながら行う仕事ぶりに感動、理解するという物語である。5年余り前に惰学記「涙腺」で書いたように、私は映画やテレビで人の死の場面に遭遇するとすぐ涙があふれるので、劇場でこの作品を見るのに相当な覚悟がいると考えたのも、敬遠した理由の一つだった。
 ところが昨年暮れ以来、「おくりびと」が、国内の映画賞作品賞をほぼ総なめ*にし、海外でもモントリオール世界映画祭グランプリを獲得、「本家」アカデミー賞の外国語映画部門でノミネートされるに至り、しまった、見ておけばよかったと後悔したが、時すでに遅く、和歌山の映画館では公開が終わっていたため、見るチャンスがなかったのである。
 ご存じの通り、「おくりびと」はめでたくアカデミー外国語映画賞を獲得し、全国各地で作品の「凱旋上映」が行われるようになった。和歌山市内ではまだ**だったが、隣接の大阪府阪南市のシネコンで上映されているのを知り、たまたま日曜の午後2時過ぎから日程が空いていたので、連れ合いの運転で中古のマイカー初代プリウスに乗って見に行った。
 作品は評判通りの出来栄えで、本木、広末はもちろん、脇を固める山崎務、余貴美子、吉行和子、笹野高史、杉本哲太ら皆いい味を出している。何度か涙があふれ、ハンカチで目を拭いたが、滝田洋二郎監督のユーモアあふれる演出もあり、楽しく見ることができた。
 特に、雪、桜、白鳥、月山、最上川などの風景を通じて描き出される山形の四季の美しい映像が素晴らしく、重要な舞台となる銭湯が、大勢の観光客で息を吹き返していることも併せ、映画は地域おこしに大きな役割を果たすということを改めて認識させられた。
 不思議なのは、アカデミー賞ノミネート後、受賞式前日までの日本のマスコミ報道を聴いている限り「おくりびと」の外国語映画部門受賞はかなり有力という感じだったが、いざ受賞となったら、「大番狂わせの受賞」「海外メディアもびっくり」などの報道が相次ぐようになった。つまりあれだけ事前に大騒ぎしながら、日本のメディアは「おくりびと」の受賞など信じていなかったのである。オリンピックのメダル予想と同じように、我が国のマスコミは、希望的観測をあたかも客観的見通しのように伝える癖があるようだ。

 *日本アカデミー賞、毎日映画コンクール、報知映画賞、日刊スポーツ映画大賞、キネマ旬報ベストテンなどブルーリボン賞を除き作品賞を独占した。また、中国の金鶏百花映画祭国際映画部門作品賞も受賞している。
 **3月14日(土)から和歌山市内のジストシネマでも凱旋上映が始まっている。行くのが1週間早すぎたようだ。



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