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山手線
 JR山手線が東京の中心部を周回する電車であることは、たいていの人が知っている。最北地点は田端・駒込間の京浜東北線との分岐点、南端は大崎・品川間の東海道新幹線・横須賀線との合流点辺りで、南北は約13km、一方東端は上野・鶯谷間のカーブ、西端が新大久保・新宿間の中央線との合流点付近だから、東西は約7km。随分南北が長い楕円形*1だ。
 都会の環状運転鉄道としては、山手線のほかJR大阪環状線、名古屋市営地下鉄名城線がある*2が、山手線は断トツに歴史が古い。1周34.5kmに29駅があり、一周所要時間は62分前後だから、平均時速35km程度である。名城線は26.4kmに28駅、1周約50分で時速31.7km、大阪環状線は21.7kmに19駅で、1周約45分だから平均時速は28.9kmだ。
 これに比べると郊外鉄道はずっと速い。JR大阪―神戸間(33.1km)は各停で40分程度、新大阪発の「くろしお」など阪和・紀勢線特急は山手線が一周する間に76.8km先の和歌山駅に到着する。湖西線新快速は近江舞子の先の79km離れた北小松に、東海道・山陽線の下り新快速は88km先の姫路に着く。東京、大阪、名古屋の環状3線は極端に遅いのである。
 さて、普通山手線と呼んでいる区間のうち、京浜東北線と並行している田端―品川間の13.9kmは、厳密に言えば、田端―東京間が東北本線、東京―品川間が東海道本線で、残る品川から山の手側(楕円の西側)を走って田端に戻る20.6km区間が山手線となる*3。
 私が子どものころ、柳亭痴楽(4代目)という落語家の「痴楽つづり方教室」という小ネタが人気で、特に「上野を後に池袋、走る電車は内回り、私は近頃外回り、彼女は奇麗なうぐいす芸者(鶯谷)、にっぽり(日暮里)笑ったあのえくぼ、田畑(田端)を売っても命懸け、思うはあの娘の事ばかり。我が胸の内、こまごめ(駒込)と、愛のすがも(巣鴨)へ伝えたい。おおっか(大塚)なビックリ、度胸を定め、彼女に会いに行けぶくろ(池袋)、行けば男がめじろ(目白)押し。そんな女は駄目だよと、たかたの婆(高田馬場)や新大久保のおじさん達の意見でも、しんじゅく(新宿)聞いてはいられません。夜よぎ(代々木)なったら家を出て、腹じゅく(原宿)減ったと、渋や(渋谷)顔。彼女に会えればエビス(恵比寿)顔。親父が生きてて目黒い内(目黒)は、私もいくらか豪胆だ(五反田)、おお先(大崎)真っ暗恋の鳥。彼女に贈るプレゼント、どんなしながわ(品川)良いのやら、魂ちぃも(田町)宙に踊るよな、色よい返事をはま待つちょう(浜松町)、そんな事ばかりが心ばし(新橋)で、誰に悩みを言うらくちょう(有楽町)、思った私が素っ頓狂(東京)。何だかんだ(神田)の行き違い、彼女はとうに飽きはばら(秋葉原)、ホントにおかち(御徒町)な事ばかり。やまて(山手線)は消えゆく恋でした」という「恋の山手線」が大ヒットした。ただ、私の記憶にあるこの話には駅は28しか出てこない。痴楽が全盛期を過ぎた後の71年4月に山手線最後の新駅「西日暮里」が開業した*4ためである。


*1 厳密には北側のほうが幅が広い(略図参照)。
*2 一見環状線らしき路線は都営地下鉄大江戸線はじめ、千葉県に2線、神戸と松山に各1線あるが、いずれも線路が環状につながってはおらず、ラケット型の運行を行っている。東京、大阪、名古屋の3線が環状運転を始めたのは山手線が1925(大正14)年11月1日。大阪環状線は1964(昭和36)年3月22日、名古屋地下鉄名城線は2004年10月6日である。
*3 国土交通省鉄道局が監修し、鞄d気車研究会・鉄道図書刊行会が発行する鉄道要覧の路線区分による。この区分は路線の重複を認めないため、例えば中央本線は神田―代々木、新宿―塩尻―名古屋の両区間、大阪環状線は内回りで天王寺―大阪―新今宮(新今宮―天王寺間は関西本線)となっている。
*4 69年12月、千代田線西日暮里駅が開業、千代田線との連絡のため71年4月20日に山手・京浜東北線西日暮里駅が新設され、山手線の駅数が28から29になった。なお、4代目痴楽(1921〜93)は73年に大阪で高座出演中に倒れ、以後は闘病生活となった。従って2年間は29駅時代と重なっていて、その間は「にっぽり笑ったあのえくぼ」の後に「西日暮里と濡れてみたいが人の常」と入れていたそうだが、そのころすでにテレビなどへの登場回数も減っており、印象に残っていない。




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