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言葉が気になる
 仕事柄、スポーツ大会や、業界団体の総会、全国大会などの開会式に出席することも多いが、進行役を勤めるアナウンサーや大会関係者のあいさつなどの言葉遣いに首をかしげることがしばしばある。まず主催者側の副会長などが行うことが多い開会宣言である。
 本来、「ただいまから××大会を開会いたします」か、あるいは単に「××大会の開会を宣言いたします」と言うべきなのに、4人に1人くらいの割合で「ただいまから××大会の開会を宣言します」と “宣言”する人がいる。「それでどこがおかしいのか」と思うかもしれないが、よく考えると、「ただいまから〜〜宣言します」では、宣言の予告みたいで、その後に例えば「開会!」といった“本物の宣言”がありそうに思えてしまうのだ。
 次は祝電披露である。国会議員などから届いたものが読み上げられるが、定番なのが「関係各位の並々ならぬご尽力に『敬意を表します』」という文章だ。これは本来、『敬意を表する』という言い回しの丁寧語だから、当然「〜〜にケイイをヒョウします」と読まなければならないが、この場合も、「〜〜にケイイをアラワします」と読む人がかなりいる。プロのアナウンサーでさえ2割くらいは間違えるのである。それを誰も注意しないので、アラワスで間違ってないと思い込んでいる人が多いようだ。かつては「表す」は「表わす」と送っていたが、「行なう」が「行う」に改められた1973年の送り仮名改定で「表す」と書くようになった。この結果、「ヒョウします」と「アラワします」はいずれも「表します」と“表される”ようになった*1ため、こういう誤読が始まったともいえる。もっとも、昔のように*2電報がカタカナでしか打てなければ、読み違いは生じなかったはずである。
 もう一つ、来賓あいさつなどで出てくる「きめ細やかな」という言葉が気になる。辞書には「きめ細か」は載っているが、「きめ細やか」は出てこない。「きめ細か」は「木目細か」と書き、元々木の表面が滑らかなことだが、皮膚など物の表面が滑らかなこと全般に使われ、さらに「きめ細かな配慮」などのように「物事に気を配ってぬかりのないさま」を言う表現になったのである。一方、「細やか」は「細かな点まで行き渡って優れていること」を意味する言葉だ。つまり「細やか」と「きめ細か」はほぼ同じような意味で使われていたのである。そこで混同が生じて「きめ細やか」なる“新語”が生まれたのだが、誤用である。先日、ある新聞の見出しに「きめ細やか」が登場した。乱れが日常化している。
 新聞社の編集局にいた時だから今から13年以上前だが、そのころ「ら抜き言葉」が取りざたされていたのにひっかけて、「ら抜き言葉」批判への反動で「やらさせていただきます」「休まさせていただきます」など、余分な「さ」を付ける「さつき言葉」が目立つようになってきたと警鐘を鳴らしたが*3、最近「さつき言葉」がますます隆盛なのも残念だ。


*1 この時の改定で「オコナった」と「イった」も同じ「行った」になったが、こちらは文脈で分かるので、まだましかもしれない。
*2 1998年2月1日から「漢字電報」という新サービスが開始されたが、それまでは電報といえばカタカナしか使えなかった。
*3 1997年5月日毎日新聞(東京)夕刊「憂楽帳」に掲載、このHPの「憂楽帳」第2集にも収録している。




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