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河村旋風
 2月6日投開票された愛知県知事選、名古屋市長選、名古屋市議会解散の賛否を問う住民投票は、「住民税減税」「市議会の解散」などを掲げる河村たかし市長・大村秀章新知事陣営*1の圧勝に終わったが、減税という一般受けしやすい施策を掲げて選挙民の支持を獲得するという政治手法には様々な問題があり、雪崩現象のような大差に危うさを感じる。
 今回の現象の背景に、自公政権が倒れて誕生した民主党政権が期待外れで、政党全体への不信が高まったこと、一向に景気が回復せず不安を募らせている庶民に、公務員のムダ遣いや地方議員の高報酬に対する不満が募っていることがあるのは間違いない。河村陣営は、住民税減税と議員・公務員の削減、報酬・給与引き下げを掲げ、既成の政治勢力と対決する姿勢を見せ、閉塞状況打破の期待感を抱いた庶民の熱狂的支持を得たのである*2。
 この手法は小泉純一郎元首相を連想させる。小泉氏は2001年2月、森喜朗首相(当時)が失言などで支持を失い辞職した後の自民党総裁選に出馬、「『自民党をぶっ壊す!』『私の政策を批判する者はすべて抵抗勢力』と熱弁を振るい、閉塞した状況に変化を渇望していた大衆の圧倒的な支持を得て」*3、大本命の橋本龍太郎候補に党員投票で圧勝、首相に就任した。その後はいわゆる「小泉改革」を推進し、持論だった郵政民営化に突き進んだ。法案は05年、党内の反対論を押し切って提出され、衆院を小差で通過したが参院で否決される*4。小泉首相は衆院を解散、反対票を投じた自民党議員を公認せず、「抵抗勢力」として、選挙区に対抗馬*5を立てて追い落としを図る「劇場型選挙」を展開し、大勝を収めた。
 河村方式は「抵抗勢力」という敵を作ってケンカを仕掛け、マスコミを味方にして現状に不満を持つ大衆の支持を得るという点で小泉元首相と酷似しており、議会や職員を「敵」に設定する点で橋下徹大阪府知事や竹原・前鹿児島県阿久根市長とも共通している。
 首長の提案に反対するという理由で議会を解散したり、竹原前市長のように議会を開かないことは、首長の暴走や独走をチェックするという二元代表制*6議会の機能をないがしろにするものであり、特に市長が先頭に立って議会解散の署名を求めるやり方は疑問だが、規定の署名数を集め選挙を行って住民の声を聞いているので、法的には正当性がある。
 問題は住民税減税で、そもそも住んでいる場所によって住民税率に差があっていいのかという根本的な疑問がある。住民税収入が多いなら、福祉など住民生活充実に振り向けるのが筋で、減税しても生活に苦しむ非課税世帯には恩恵がない。まして減税で不足する税収を借金で補うのなら論外だ。河村氏は「他の自治体から名古屋に移り住む人が増えれば(減税分は)賄える」と言っていた*7が、他の自治体も減税で対抗すればよいということなのか。牛丼チェーンの値下げ合戦みたいなことを役所が始めたら日本もおわりだと思う。



*1 便宜上「河村たかし市長・大村秀章新知事陣営」を「河村陣営」と呼ばせてもらう。河村氏は名古屋弁丸出しのしゃべりで、特に中高年の女性層に圧倒的な人気があった。
*2 トリプル選挙から4日後の10日(木)に名古屋で東海和歌山県人会が開かれ、私も参加した。和歌山側からは知事代理の下副知事と、紀南を中心に市長、町長の多くが参加し、愛知県の幹部も例年通り来賓として出席した。選挙直後だけに、「河村旋風」に触れたあいさつも多かったが、圧倒的な選挙結果とは異なり、河村陣営に批判的な意見も目立った。東海和歌山県人会は、トヨタ関係の複数のディーラーのトップである山口春三ネッツトヨタ東名古屋社長(新宮市=旧熊野川町出身)が長く会長を務めている関係もあって活動が盛んで、会員数も多い有力な県人会である。
*3 「 」内はウィキペディアの記述を引用した。
*4 衆院は賛成233、反対228の5票差で、自民党から37票の反対票が出た。参院では22人の自民党議員が反対し、賛成108、反対125で否決された。
*5 マスコミはこの対抗馬を「刺客」と呼んだ。
*6 地方自治体には選挙で選ばれる首長と、同じく選挙で選ばれる議会議員の2つの住民代表が存在することを二元代表制と呼ぶ。議会は首長の提出する予算や条例案を審議し、賛否を決めるほか、議会自ら条例を提出し政策を実現させることや、首長の独走・暴走をチェックするなど多様な機能を持つ。
*7 たまたま12日の朝テレビを見ていたら、河村市長が出演していて、このような趣旨の議論を展開していた。


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