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「大和」と「あすか」
 奈良県の話ではなく、旧国鉄時代の話である。毎年3月にJRダイヤ改正が行われるが、49年前、1962年3月10日の国鉄ダイヤ改正で、東京―湊町(現JRなんば)間の夜行急行「大和」に、和歌山市発着の寝台車が1両だけ併結されるようになった*1。
 17時52分発の王寺行き和歌山線SL鈍行列車に「大和」の寝台車1両が連結された形で、今は使われていない和歌山市駅の1番ホームから出発する。王子駅まで約2時間半、ここで寝台車は切り離され、関西本線・湊町駅を20時13分に出た東京行き急行「大和」(7号車から14号車までの8両編成)を待ち、その最後尾に6号車として連結され、和歌山市出発時とは逆向きに走り始める*2。「大和」は奈良、伊賀上野、柘植、亀山、四日市、桑名と停車し、名古屋に到着、1号車から5号車までが増結されて、東海道本線に入る。ここでまたも逆向きとなり、東京駅着は午前6時40分、12時間48分の長旅*3だった。
 中学3年の3学期に東京に転校し、都立戸山高を受験、無事合格した私は、和歌山に帰省して旧友と互いの合格を祝いあったあと、多くの友たちに見送られてこの「大和」で東京に向かった。その後も、夏休みなどの帰省に何度か利用した大変思い出深い列車だ。
 新幹線開業後も、高い特急料金がもったいなくて、安上がりな列車を使ったが、中でも、私が大学に入学する直前の1965年3月に運行開始された特急「あすか」が印象深い。東和歌山(現和歌山)と名古屋を結ぶディーゼル車で、朝7時10分に東和歌山始発、阪和線・堺市に停車後、天王寺をパスして杉本町から貨物線*4経由で関西線の久宝寺に抜け、奈良、伊賀上野、亀山、四日市と進み、10時50分名古屋到着、ここで新幹線に乗り換えた。
 当時、紀伊半島を半周する紀勢線は国鉄天王寺鉄道管理局(天鉄局)のドル箱路線で、新婚旅行や慰安旅行、労組大会などの利用者が多かった。天鉄局は同線に新型ディーゼル車2編成を投入し、天王寺〜名古屋を紀伊半島回りで結ぶ紀勢線初の特急「くろしお」を1日1往復新設する一方、この車両を効率的に使うために同時に「あすか」が生まれた。
 10時50分名古屋着の「あすか」は12時00分発「くろしお」となり、亀山から紀勢線経由で紀伊半島をU字型に回り*5、東和歌山から阪和線に入る。天王寺終着は20時40分。翌朝9時10分天王寺発「くろしお」となり、18時00分名古屋到着。下り特急「あすか」となって19時00分名古屋発、関西線、阪和線経由で東和歌山着が22時40分だった。もう1編成は初日が9時10分天王寺発「くろしお」で、翌日は7時10分東和歌山発「あすか」として走っていた。だが天王寺を通らない「あすか」は人気がなく、わずか1年半で廃止された。「和歌山から新幹線駅まで直行する列車を」という県民の悲願は、国鉄分割民営化後の89年7月、「くろしお」新大阪乗り入れまで23年もお預けとなったのである。



*1 東海道新幹線開業は、東京五輪が行われた1964年10月で、「大和」の和歌山市発着寝台車はその2年半前に営業開始し、新幹線開業から4年後の68年9月末で廃止された。東京―和歌山市を乗り換えなしで結ぶ最初で最後の列車である。新幹線開業前、東京―大阪間は最速のビジネス特急「こだま」でも6時間半かかったため、夜出て朝着く夜行列車の方が時間を十分に使えるので、夜行利用者が多かった。
*2 実は奈良県に入って3駅目の北宇智駅でスイッチバックがあり(2007年3月に廃止された)、すでに1度短時間の逆送があったので、2度目の逆走である。名古屋でもう1回逆送するので、逆送が都合3回、おちおち寝ていられなかった。
*3 当時、東和歌山18時50分発ぐらいの阪和線快速に乗ると、天王寺で「大和」に間に合った。乗り換えないで済む代わりに、1時間も余分にかかるという不思議な寝台車だった。
*4 この貨物線は2009年11月に廃止された。
*5 「くろしお」の停車駅は四日市、亀山、津、松阪、多気、尾鷲、熊野市、新宮、紀伊勝浦、白浜、紀伊田辺、東和歌山だった。今と比べると、停車駅の数が非常に少ないのに驚く。


(上)和歌山線下田駅(現香芝駅=奈良県香芝市)付近を走る和歌山市行き列車の2両目に併結された東京発急行「大和」の寝台車の1両(蒸気機関車はC58)=広瀬和彦さんのHP「おもいでの箱 鉄道写真集」より(1967年ごろの写真)

(下)1965年、ディーゼル特急「あすか」「くろしお」の運転開始を宣伝するパンフレットの「あすか」のページ


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