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田子ノ浦親方
 2月13日に伝えられた新宮市出身の田子ノ浦親方(元久島海=本名久嶋啓太)突然の死去には心底驚いた。なにしろ、4日前の9日に名古屋で開催された東海和歌山県人会で顔を合わせ、「また16日に伺いますのでよろしく*1」とあいさつされたばかりだったからだ。
 田子ノ浦親方は和歌山県新宮高校から日大に進んだが、高校時代に1981〜83年の3年連続高校横綱となり、3年生の時には全日本選手権に優勝、高校生として史上初のアマチュア横綱となった*2。翌年日大1年生でも全日本選手権を連覇、学生選手権でも3年まで連続で優勝するなど、アマチュア時代には今も史上最多である28個のタイトルを獲得した。
 鳴り物入りで出羽海部屋に入門し、88年初場所、幕下付け出しで大相撲デビューした久嶋は89年3月に十両昇進し、四股名を久島海*3と改めた。同年名古屋場所で入幕したときまでは順風満帆だったが、200kgを超す体重がかえってアダとなってけがや故障が多く、幕内に定着できず、最高位は前頭筆頭*4、ついに三役に上がれないまま98年11月場所前に引退、田子ノ浦親方となって01年には出羽海部屋から独立し、田子ノ浦部屋を開いた。
 現役引退後は、以前にも増してふるさと和歌山県とのつながりを大切にするようになり、名古屋場所の時は東海和歌山県人会の全面支援を受けていた関係で、県人会の新年会には皆勤、福引の司会役も毎回努め、得意の歌も披露していた。3月の大阪場所の時は、学生時代に自分も稽古場にしていた和歌山県庁相撲部*5の道場に部屋を構えて、ちびっ子や中学高校の相撲選手らを招いて弟子たちに相撲の手ほどきをさせながら、有望な新人の発掘に努める一方、稽古のようすを公開したり、ちゃんこ料理をファンにふるまったりして、相撲人気を高める努力を続けてきた。昨年は八百長事件で大阪場所が中止になったため行けなかったが、それまでは毎年私も部屋に出かけ、ちゃんこをごちそうになっていた。
 長い間関取が出せず、低迷していた田子ノ浦部屋だったが、09年名古屋場所初土俵のブルガリア出身力士・碧山が序の口、序二段、幕下と優勝を重ねる急成長でメキメキ頭角を現し、11年の名古屋場所で十両に昇進、田子ノ浦部屋待望の関取がやっと誕生した。
 碧山は十両を2場所で通過して*6、11月場所で幕内に昇進。その場所で11勝4敗の好成績を上げ敢闘賞を獲得した。前頭7枚目まで番付を上げた12年初場所は上位の壁にぶつかって6勝9敗に終わったが、190p、174sの恵まれた体格もあって、「将来の大関候補」と期待を集めるようになり、田子ノ浦部屋の注目度も増した矢先の親方の急死である。
 親方は03年に急性心筋梗塞で入院したことがあり、栄養士であるおかみさん*7の指導で80sの減量を達成していた。今回、一報は口から吐血して倒れたとなっていたが、死因は虚血性心不全*8と発表された。突然の発作で倒れ、唇を切って出血したらしい。合掌。
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 諸般の事情で2回続けて「余談独談」となりましたので、次は惰学記が続く予定です。



*1 大阪場所前後に開く恒例のパーティーのご案内などで訪問されるつもりだったようだ。
*2 久嶋以後も高校生のアマ横綱は出ていない。
*3 その時までは本名の久嶋で取っていた。
*4 93年大阪場所では、前頭2枚目で12日目まで7勝5敗と三役昇進のチャンスを迎えていたが13日目に旭道山の張り手を食らって膝を痛め、休場。7勝7敗1休で昇進を棒に振った。
*5 和歌山県庁相撲部は実業団の名門相撲部で、全日本相撲選手権(アマ横綱)4回、全日本実業団対抗相撲選手権団体優勝18回の記録を持つ。なお、田子ノ浦部屋は今年の大阪場所からは後援会会長の地元スーパー「松源」社長の計らいで「部屋」を隣の岩出市の松源相撲部の練習場に移転することになっており、*1の親方の訪問はこの挨拶も兼ねてのことだったようだ。
*6 八百長事件で十両力士がごっそり陥落などで抜けた結果、5月の技量審査場所幕下筆頭で5勝2敗だった碧山はいきなり十両4枚目に昇進、名古屋場所は7勝8敗だったが、腰椎椎間板ヘルニアで2日休場した9月場所で10勝3敗2休の好成績を上げ、一気に入幕した。
*7 親方自身も料理上手で、雑誌に料理の連載コラムを書いたり、レシピ本を出したりしていた。
*8 心筋梗塞や狭心症など冠動脈の閉塞や狭窄による心臓の症状を虚血性心疾患と呼び、それによって死に至った場合に虚血性心不全というようだ。急性心筋梗塞とほぼ同義である。


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