明日  I will support Ohashi For tomorrow. 大橋健一
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市民が主役



余談独談




点と線

 7月2日の月曜日早朝にJR和歌山駅西口前で、恒例の「社会を明るくする運動」和歌山市推進委員会の広報活動に参加し、「社会を明るくする大使」を04年以来ずっと続けていただいている和歌山弁落語の桂枝曾丸師匠をはじめ和歌山保護司会や更生保護女性会など関係の方々と並んで、通勤・通学中の人々に、メモ帳、ボールペン、うちわなど啓発グッズを配布した。市の推進委員会は私が委員長になっており、10年間、毎回参加している行事である。いつもは1日に行うが、今年は日曜日と重なったため、2日に実施された。
 社会を明るくする運動は、第2次大戦後の荒廃で街にあふれた子供たちの将来を懸念した東京・銀座の商店街の人たちが、1949年7月1日に施行された「犯罪者予防更生法」(罪を犯した人の更生を助ける更生保護制度の基本法)の思想に共鳴し、保護少年のためのサマースクール開設資金づくりなどを目的に、同月「犯罪者予防更生法実施記念フェア」を自発的に開催したのがきっかけである。2年後の1951年に7月1日が「更生保護の日」と決められ、法務省の肝いりで毎年7月を強調月間とする通称・社明運動*1が始まった。
 さて、ここまでは前置きで、ここから突然、今回のタイトル「点と線」の話になる。
 JR和歌山駅西口前の歩道に立って啓発グッズを配っていた午前7時半ごろに、たまたま駅のホームの方を見たら、4本あるJR線のホーム*2に全く列車がおらず、9番線の和歌山電鐡貴志川線ホームに停車中の「たま電車」が1分半余にわたって見通せた。私はその時、小学校6年生のころ読んだ松本清張の推理小説「点と線」を思い出したのである。
 「点と線」は1958年2月に刊行された松本清張最初の長編推理小説。東海道新幹線開業の6年以上も前、在来線の寝台特急「あさかぜ」が東京と博多を結ぶ花形列車だったころの話である。東京駅の在来線ホームは今より2本多く、現在の9〜10番線ホームの東*3に湘南電車と横須賀線用の12〜13番線ホーム、長距離列車用の14〜15番線ホームがあった。
 物語はその12〜13番線ホームで料亭の仲居2人に見送られて横須賀線電車を待つ機械工具商の安田が、15番線ホームで出発待ちの「あさかぜ」に乗り込む料亭の女将と中年男性を目撃、数日後その2人が福岡県香椎海岸で心中死体となって発見される。中年男性が某省の課長補佐で、汚職事件の渦中の人物と分かり、心中を偽装した殺人の疑いが生まれた。
 そもそも安田と2人の仲居が隣のホームから2人を見かけたのは本当に偶然だったのか。停車中の「あさかぜ」を隣のホームから見通せるのは4分だけと分かり、安田への疑いが強まる。だが安田には鉄壁のアリバイが……という話*4で、大ベストセラーになった。
 いくら東京と和歌山では条件が違うとはいえ、ラッシュ時間の朝7時半にJR和歌山駅のホーム4本のどれにも列車がいなくて、「たま電車」が見通せる*5のは奇跡に思える。
 
*1 従って今回が62回目の強調月間となるが、60年以上という時代の変遷とともに、「社会を明るくする運動」では趣旨が伝わりにくいという声も出るようになり、一昨年の第60回という節目を期して「社会を明るくする運動〜〜犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ」という長い名前になった。そして昨年からは映画「幸せの黄色いハンカチ」にヒントを得てデザインした黄色い羽根をあしらったシンボルマークのバッジもできた。
*2 改札口を挟んで駅コンコースとつながっている1番ホームは主に「くろしお」など大阪方面行き列車用、2〜3番線ホームは主に紀州路快速や普通車などの天王寺方面行き電車用、4〜5番ホームは主に白浜、新宮方面行きの列車用、6番線は線路だけでホームがなく、7〜8番線ホームは7番が和歌山線王寺、奈良方面発着ホーム、8番が紀和、和歌山市方面発着ホームで、その東側に和歌山電鐡貴志川線の9番ホームがある。
*3 現在では東(八重洲)側の14〜15番、16〜17番、18〜19番の3つのホームが東海道新幹線用、その手前の20〜21番、22〜23番の2ホームが東北・上越新幹線用だが、20〜23番ホームの位置は、かつて在来線の9〜10番、12〜13番の両ホームがあった場所の上である。なお、「あさかぜ」などが発着していた旧14〜15番ホームは現在の東海道新幹線14〜15番ホームの場所にあった。中央線電車発着ホームが西(丸の内)端に高架で新設され、1〜2番ホームとなったため、従来中央線が使っていたホームが京浜東北線北行き・山手線内回りの3〜4番ホームに、旧3〜4番ホームが京浜東北線南行き・山手線外回りの5〜6番ホームに、旧5〜6番ホームが湘南方面の東海道線近郊電車用7〜8番ホーム、旧7〜8番ホームが伊豆方面などの東海道線特急が発着する9〜10番ホームになった。
*4 西村京太郎の十津川警部ものなど、「時刻表アリバイ崩し」ミステリーの先駆けとしてベストセラーになった推理小説史上に残る作品である。
*5 時刻表を頼りに調べると、たま電車は7時23分に和歌山駅に就き、32分に発車する。この間、7時29分に阪和線・環状線経由京橋行き快速電車が発車してから次の35分発の天王寺行き普通車がホームに入る31分ごろまでの間が4つのホームとも空き状態で、西口前から「たま電車」が見通せるのである。


7月2日午前7時30分ごろ、JR和歌山駅西口で啓発グッズを手渡しながらホーム方向を見る私。どのホームにも列車は入っておらず、かすかに和歌山電鐡貴志川線の「たま電車」が見える
 


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