中学校時代に教わったフォークダンスの中でも「オクラホマミキサー」は最も定番で、中年過ぎの多くの男女にとって、思春期の甘い思い出の一つになっていると思われる。 |
「オクラホマミキサー」は、男女がペアで手と手を取り合って踊り、次々にパートナーが変わっていく*1のがポイントだろう。好きな子が輪のどの辺で、何人後に自分とペアになるかを気にしながら踊っている人が大半で、なぜか目当ての異性が隣まで来た時に音楽が終わる不運を味わった人も多いはずだ。この現象を「アンサイクロペディア*2」はアインシュタインが1901年に発見した「オクラホマミキサーの法則*3」と説明、マーフィーの法則*4の先駆をなすものと記しているが、もちろんジョークであり、そんな事実はない。 |
実は、惰学記歌シリーズアルファベット編「O」回に「Oklahoma Mixer」を書こうと考えて調べたら、意外にも「オクラホマミキサー」という曲名は日本でついたもので、日本以外では通じないことが分かった*5。だからアインシュタインが「オクラホマミキサー」を知っているはずがないのである。元のメロディーはアメリカ民謡とされるが、米国でのタイトルは「Turkey in the Straw」で、日本でも「藁の中の七面鳥」という題で小学校時代から親しまれている童謡と同じである。ミキサーというのは男女パートナーが次々交代していくダンスの形式を言うようで、「オクラホマ風のミキサー(ダンス)」という意味でついたタイトルらしいが、米オクラホマ州の人に聞いても、首をかしげるだけだそうだ*6。 |
私の青春前期にも「オクラホマミキサー」の思い出はいくつもある。和歌山大学附属中学校時代に初めて覚えたが、当時の同学年は3クラスとも男子の方が2人ほど多く*7、あぶれて不運にも女役に回される級友が必ずいた。本人は一見平静を装っていたが、内心、はらわたが煮えくりかえっていたのでは、と思う。そうかと思えば、私には全く理解できなかったが、「女の子と手をつなぐなんて嫌だ」と、頑として教室を出ない男子がいた。クラスの男子全員でその子を校庭に引きずり出したりしたが、それでも必死に拒むので、ついに踊りに参加させるのをあきらめたこともあった。あれは、いじめになるのだろうか。 |
中3の3学期に東京の中学に転校し、受験までの短い間に別のクラスで可愛い子を見つけた。卒業式直前に小金井公園への遠足があり、設けられたフォークダンスタイムの「オクラホマミキサー」で、その子と当たってうれしかった。3年後、大学に入ってすぐ、ばったり出会ったことがあり、懐かしくて声をかけたが、彼女は全然覚えていなかった。 |
高校の運動会の時にも似たような思い出があり、これもまた別のクラスの可愛い女生徒に「オクラホマミキサー」で3回当たった。彼女が「3度目ね」とささやいたので、ノボせてしまい、大学受験直後の発表前に彼女を映画に誘ったら一発で振られてしまった。 |