明日  I will support Ohashi For tomorrow. 大橋健一
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市民が主役



余談独談




困ったでござる

 「困ったでござる」はもちろん正しい言葉遣いではない。藤子不二雄Ⓐのかつての人気漫画「忍者ハットリくん*1」の主人公ハットリカンゾウの口癖の一つに「○○でござる」というのがあったのを思い出して、間違った言葉遣いの代表例としてタイトルに借用した。 
 実は私は2010年12月に余談独談で「~~してございます」という使い方は間違っていると1度書いている*2が、その時は「ほうが気になる」というタイトルのコラムの末尾に付け足しのように書いたので目に留まらなかったのか、当コラムの読者が少ないせいか、私の言が信用されてないのか、「してございます」は最近ますます隆盛となり、プロのアナウンサーまでが、「してございます」を連発するようになった。耳障りな言い回しなので、使わないよう市役所でも紙を回したりして呼びかけているが、一向に衰える気配がない。
 2年半近く前に書いたことを繰り返すと、「ございます」は、「ある」「あります」の丁寧な表現と辞書にはあり、名詞や形容詞の後につく丁寧語で、動詞の後につく進行形を意味する「いる」の丁寧語ではないことになっている。例えば「私は大橋建一でございます」とか「夕焼けがとてもきれいでございます」というのが正しい使い方で、動詞の後について「考えてございます」とか「聞いてございます」「このようになってございます」「そこには書いてございませんが」といった言い方は本来間違いである。「考えてある」「笑ってある」「なってある」と言っているようなもので、「ら抜き言葉」や「さつき言葉*3」と同様、日本語の話し言葉の基本的なルールが全国的に乱れてきていることを示している。
 もっとも、和歌山弁では昔から「来ている」を「来ちゃある」、「している」を「しちゃある」と言っており、「ある」「いる」の区別が元々怪しいので、和歌山で「してございます」が蔓延するのは無理もない気がするが、エリートのお役人が国会中継で「○○してございます」と答弁するのを聞けば、和歌山の人間だけでなく、全国的に「ございますと言っておけば安心だ」という意識が広まってくるようで、私は危機感を募らせている。
 実は、この「ございます」の使い方は、尊敬語を丁寧語と混同していることにもなるので、私はとても気になるのだ。なぜかというと、「ございます」の原型である「ござる」には、「ある」の丁寧語以外に、「いる」の尊敬語という使い方がある*4からだ。童謡「見てござる」で「村のはずれのお地蔵さんは いつもにこにこ見てござる」と歌うのがその例だが、これを丁寧語としての「してございます」の使用例と錯覚する人が多い。だがこれは「お地蔵さんが見ていらっしゃる」という意味なのである。他人がしたことならいざ知らず、自分がしたことを「○○してございます」と言うのは、「私はこうおっしゃいました」と言うようなもので、自分に敬語を使う愚を犯しているのだということを強く指摘したい。
*1 「忍者ハットリくん」は藤子不二雄Ⓐ(本名・安孫子素雄)が1964~68年と81~88年に少年漫画誌に連載した漫画で、伊賀の山奥から忍者の子孫の服部貫蔵(ハットリくん)が東京に出てきて普通の家庭に居候する話だ。ハットリくんは「ニンニン」という意味不明の忍者語?をよく使うほか、「~~したでござる」という〝江戸時代風〟の言葉も口癖のように使う。
*2 2010年12月13日の余談独談<「ほう」が気になる>。
*3 「さつき言葉」は、1997年5月に毎日新聞(東京)の夕刊コラム憂楽帳(このホームページの表紙から憂楽帳のタグをクリックすると第2集の最初に出てくる)で使った私の造語である。「×月×日は休まさせていただきます」「当方でやらさせていただきます」「乾杯の音頭を取らさせていただきます」という勘違い丁寧語を「ら抜き言葉」との対比から「さつき言葉」と命名した。「せる」「させる」は使役の助動詞で、「せる」は四段活用やサ変の動詞に、「させる」は上一段、下一段、カ変の動詞に付くのが文法の決まり。従って「休ませていただきます」「やらせていただきます」「取らせていただきます」と「さ」をつけないのが正しい。上一段、下一段、カ変に付く可能の助動詞「られる」が、四段、サ変に付く「れる」に引きずられて「ら」が消える「ら抜き言葉」とは裏返しの関係だ。
*4 「ござる」が「いる」の尊敬語として使われることも*2の余談独談の注で触れているが、自分がしていることを「してございます」というのは、自分に対して尊敬語を使うという大きな誤りであることまでは記載していない。



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