参院選が終わって3週間余が過ぎた。安倍晋三総理にとっては6年前に惨敗を喫し、総理の座を降りるきっかけとなった参院選のリベンジであり、その時からの悲願だった「ねじれ解消」を果たすことができて、連立与党の公明党も含め、満足な結果だったと思う。 |
今回の参院選で自公両党は、「決められない政治に終止符を打ち、安定した政権を実現しよう」と訴え、選挙の最大の焦点を「ねじれ解消」に据えた。選挙途中にマスコミ各社が「ねじれ解消確実」と報じてからも、最後まで「ねじれ解消」を訴え続けた。 |
与党としては、衆院で絶対多数を取っても、参院で少数派なら、参院議長や常任委員長を野党に奪われて、衆院を通過した法案が参院では店ざらしにされ、前国会の会期末のように重要法案が成立しない事態となって困るから、ねじれをぜひとも解消したかった気持ちは分かる。だが、マスコミまでが同じように「ねじれ解消」を喜ぶのはいかがかと思う。 |
そもそも論で恐縮だが、2院制の議院内閣制国家*1では、第1院の多数派が政権を担い、多数派の暴走を防ぐのが第2院の役割である。解散ごとに大きく勢力関係が変わる衆院と違って参院議員は6年間の任期が保障されており、「激変緩和」効果が期待されてきた。 |
かつて、衆参の政党の勢力関係がほぼ同じだった時代は、参院は衆院を通過した議案を追認するだけの「カーボンコピー」と言われ、その存在意義が問われてきた。その後、参院では与野党勢力の拮抗状態が続き、衆院を通過した法案も参院で野党の意見を入れて修正されるケースが増えるなど、チェック機能が比較的うまく働いた時期が続いた。しかしながら、極端な「ねじれ」となると、党利党略による「問責決議」や予算関連法案、人事案件の否決などを招き、政局を不安定にするため弊害がきわめて大きい。極論すれば「ねじれ」状態の第2院は有害で、ねじれがない状態なら存在意義がないということになる。 |
参院の独自性を高めるための改革案は過去に「政党による党議拘束をなくす」「参院からは閣僚を出さない」などいくつも出された。だが、時の与党や、参院議員自身の都合で結局はうやむやになり、一向に前進しない。とすれば、今のような政党本位の選挙制度下の参院は、存在自体が「税金の無駄使い*2」との批判が出ても不思議はないが、政党で1院制を唱えるのは維新の会とみんなの党だけ*3で、自民党の改憲案は2院制存続である。 |
それはさておき、第2次安倍政権誕生から7か月余、「3本の矢」と称するアベノミクス経済対策が国民に期待されているのは間違いない。野党は、崩壊寸前のようにさえ見える民主党はじめ、維新、みんな、その他諸政党も勢いが感じられない。安倍政権は今後も、世耕内閣官房副長官が当選御礼のあいさつで述べていたように、「経済最優先」の政策を貫き、地方の疲弊を解消して、大災害に対する備えがきちんとできるようお願いしたい。 |
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