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ブチュッ

 曽我ひとみさんが夫のジェンキンスさんと2人の娘を連れて帰国した。ジェンキンスさんの病気が幸いして?米国から当面訴追されない見通しが立ち、晴れて帰国となった。まずは心から「おめでとう」と言いたい。それとともに、どんな状況にもめげず、その場その場で的確な行動を取る曽我さんの判断力とタフな精神力に心から敬意を表したい。
 それにしても驚いたのはインドネシアでのジェンキンスさんとの再会シーンである。自民党大苦戦が伝えられた参院選の投票日前々日に急きょ設定された、小泉さん流選挙目当て人気取りが見え見えの「涙の再会」だったから、テレビ桟敷の観衆は、ややシラケた目で感動のシーンを見守っていた。私が想定していた場面は、2人の娘に曽我さんが駆け寄り、3人で抱き合う。そこにジェンキンスさんが加わって4人で肩を取り合い涙、涙、涙、涙という感動シーンであった。しかし、曽我さんの動きは予想を全く覆すものだった。まさかタラップから降りてくるジェンキンスさんを自分から引き寄せて、ブチュッとは……。
 <涙、涙の再会でテレビを見ている有権者も思わずもらい泣きするはず><ちょっとクサい設定だけど、国民は「やっぱり小泉さんはやるなあ」と感心して、浮動票が自民党へ戻ってくる> 単純にいえばそういう想定で設定された舞台だったのが、「演出家」の狙いはどうであれ、「主役」である曽我さんにとっては、演技ではなく観客を全く意識しない「真実の叫び」だったので、筋書きが狂ってしまった−−私にはそのように思えた。
 あの場面を見守った国民の多くは、普段は常に冷静で、自らの思いをしっかり語りながらも、抑制的に振る舞っていた曽我さんの「隠された激しい一面」を見せ付けられ、圧倒されてしまった。小泉さんのパフォーマンスはその時点で誰の頭からも消えてしまったのではないか。結局、「演出家」の思惑とは異なり、「再会」は参院選に何の影響も与えなかった。国民の大多数は、それまで考えていた投票行動を変えなかったのだと思う。
 実は、週刊新潮の新聞広告を見ていたら、「曽我さんのブチュで消えた100万票」という記事があったので、私と同じようなことを考えている記者がいるのかと思って買って読んだ。しかし、これは全く皮相な内容で、再会を見て感動した100万人くらいの国民が、小泉さんと自民党の狙い通り、年金やイラク政策批判を忘れて自民党に入れたので、自民党は壊滅的打撃を免れたという、ありきたりの、つまらぬ記事でガッカリした。
 ところで、10日付の新聞各紙1面の写真は、各紙すべて2人の唇が離れた場面だった(読売は社会面にキスシーンを使用)。「刺激が強すぎるので自粛したのか、新聞社も頭が古いなあ」と勘繰ったが、バックで娘2人が泣き崩れている姿が入った写真となると、ブチュッの瞬間のものはなかったようで、これは私の考えすぎであった。
(2004.7.20)

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